2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの軍隊にみるトランスナショナルな性格に関する歴史・人類学的研究
Project/Area Number |
20320134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (00188335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 航 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10303900)
江田 憲治 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80176768)
小池 郁子 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60452299)
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Keywords | 軍隊 / トランスナショナリズム / 基地問題 / 在日米軍 / 在韓米軍 / 自衛隊 / グルカ兵 / 中国軍 |
Research Abstract |
本研究は、4年内に文化人類学的および歴史学的視点から日本を含む東アジア、東南アジア、南アジアを中心に活動している軍隊を、そのトランスナショナルな性格に注目して分析することを目的とする。国民によって組織される軍隊は、国民国家を構成する主要な組織である。国家を国民が軍事的に死守すべき存在とみなすとき、ナショナリズムは完成すると言っても過言ではない。兵士になることとは、ナショナリズムの理念を体現し、真の「国民」になることを意味する。軍隊・兵士と国家、国民、ナショナリズムは密接に結びついているのである。さらには男性こそ真の兵士であるという考え方が支配的であるということに注目すればジェンダー規範とも関係する。そのような国民、兵士・男性、国家という結びつきが垂直的なものとすると、複数の国家を横断する形で軍隊が水平的(トランスナショナル)に存在することもまた事実である。このことは、一般社会においても、学術的な点からも十分注目されてこなかった。本研究の目的は、この水平的な性格を明らかにすることである。本研究では、以上の問題意識を念頭に、在日米軍、自衛隊、ブルネイや香港を拠点としてきたネパール出身のブルカ兵(英国陸軍)、韓国軍と在韓米軍、中国軍などを通文化的、歴史・人類学的視点から資料を収集し、考察してきた。その結果明らかになったのは、こうした軍隊の歴史的かつ現在的なつながりである。さらに、韓国と沖縄の人びとの交流のように、軍事基地を抱えて、土地を収奪されたり、生活環境が著しく劣化したりして苦しんでいる人びとの交流が明らかになった。軍隊のトランスナショナルな展開が、人びとのトランスナショナルなつながりを生みだし、さらには国際政治に影響を及ぼすということが生じている。また米軍相手のセックスワーカーもまたトランスナショナルな移動を行っていることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)