2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330001
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
陶安 あんど Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (80334449)
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Keywords | 中国法制史 / 行政法 / 奏〓書 / 司法文書 |
Research Abstract |
(1) 行政文書について:『奏〓書』の読み下し、訳注を作成し、各事案の法的推理を復元した。正確な読み下しの作成により、多くの文書を引用して綴られている複合文書の複雑な入れ子構造が解明できたほか、一部従来簡の排列が誤っていた箇所が判明し、より正確な復元を行うことができた。また、文書の地理的分布の調査により地理的な偏りが明らかになり、『奏〓書』の成書過程について、地方官吏の手による編纂という仮説を立てて、且つそれを初歩的に裏付けることができた。 (2) 官僚機構の働き方:当初の計画では、官僚機構の働き方については、陶文史料を考古学雑誌や図録から収集し、それに基づいて、地方官庁(「官府」)の生産体制を浮き彫りにする予定ではあったが、次の理由により、陶文史料の収集よりも、雲夢睡虎地秦簡という簡牘史料群に含まれる官府の管理規定の再検討を優先して進めることにした。雲夢睡虎地秦簡の公表がすでに三十年も前に遡るにも拘らず、この史料群に豊富に含まれる行政管理規定の多くは、まだ必ずしも正確な解読がなされていない。それは、前漢において行政組織が徐々に諸曹掾史制へと再編成され、先行研究がこの大規模な再編成を認識しつつ、依然として諸曹掾史制の枠組みに即して秦簡の関連規定を解釈しているからだと思われる。陶文史料のみならず、本研究が今後扱おうとする璽印や金文などの題銘史料を理解する上で、これらの管理規定の正確な解読が不可欠な前提となるため、重要と思われる関連規定の訳注を作成し、その一部を下記の図書『秦漢刑罰体系の研究』に組み込み公表した次第である。
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Research Products
(6 results)