2008 Fiscal Year Annual Research Report
労働法・社会保障法理論における「家族」と生活利益の再検討
Project/Area Number |
20330011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村中 孝史 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 教授 (80210053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 健一郎 同志社大学, 司法研究科, 教授 (00025157)
水島 郁子 大阪大学, 法学部, 准教授 (90299123)
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Keywords | 労働法 / 社会保障法 / 労働者 / オーストリア / 生活 / 扶養 / 家族 / 内縁 |
Research Abstract |
本年度は、労働法及び社会保障法において、労働者(国民)の生活上の利益がどのように位置づけられているかを明らかにするため、その前提作業として、我が国社会において家族というものが、どのように変遷してきたかを検証した。この作業は各種の統計を用いて行ったが、その際、連携研究者の協力を得て経済学的な分析も行った。また、ウィーン大学と共同でシンポジウムに行うことにより、日本の状況とオーストリアの状況を比較対照し、両国における家族の変遷を確認した。このような作業を踏まえ、労働法及び社会保障法における家族の位置を明らかにし、これらの法分野において労働者(国民)の生活利益がどのように位置づけられているかを検討した。具体的には、内縁関係をめぐる法的問題、及び、家族扶養と社会保障法における扶養との関連について検討を行った。前者においては、家族状況の変遷に対して社会保障法理論がどのように対応してきたのかを明らかにした。また、後者においては、家族というものが弱体化する中で、社会保障法に課される課題を明らかにした。これらの作業に関しても、日本とオーストリアの理論状況を比較対照し、オーストリアにおいても内縁関係や同性間のパートナーシップなど、既存の家族法では対応できない状況が現実に生じており、家族の扶養が弱体化し、それに伴って、社会保障に課される課題が肥大化しているという状況が明らかにされた。
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Research Products
(3 results)