2009 Fiscal Year Annual Research Report
多文化共生社会の福祉政策・教育政策・人権政策に関する国際的比較研究
Project/Area Number |
20330026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
飯田 文雄 Kobe University, 大学院・法学研究科, 教授 (70184356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 康夫 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50346277)
月村 太郎 同志社大学, 政策学部, 教授 (70163780)
網谷 龍介 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40251433)
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Keywords | 多文化主義 / 思想史 / ロールズ / 共生社会 / 福祉政策 / 少子高齢化 / キムリッカ / 政治史 |
Research Abstract |
本研究は、多文化共生社会の政策過程に関して、2000年代以降生じた変化を解明することを目指すものであり、本年度は特に教育政策の分野をとりあげ、そこにおける近年の政策変容と文化的少数派の関係に関する研究を行なった。(1)そのため本研究ではまず、2000年代以降の教育政策過程の変容に関して、Patten以下の先行諸研究を幅広く収集し、その特色や問題点を研究参加者全員で批判的に検討した。その結果、1)従来の多文化共生社会に関する先行研究においては、教育政策の具体的な内容を、言語教育のそれに還元し、言語的多元性の可能性を考察する研究が圧倒的多数を占めること、2)他方、宗教は、同様に文化を規定する重要な要因でありながら、多文化共生社会の教育政策に関する先行研究の中では十分に照明が当てらなかったこと、等の重要な知見が得られた。(2)更に本研究では、(1)の議論を踏まえて、北米・西欧・東欧諸国における2000年代以降の教育政策過程にお、いて、文化的少数派の取り扱いがどのように変化してきたかに関して、比較研究を行った。その結果、本研究では、1)多数の国家で近年言語的多様性に関しては一定のコンセンサスが成立しつつあること、2)宗教教育に関する多元化の観点からは、ムスリム巡る宗教的多元化が問題化しつつあるフランスの事例や、伝統的な言語的政治的分界線に対抗して宗教的対立軸が政治的争点化しつつあるベルギーの事例等について、今後継続的な考察が不可欠であること、等の重要な知見を得た。(3)更に本研究では、こうした外国での知見を日本社会に応用する手がかりを得るため、アイヌ民族の歴史と現状に関する基礎的な知見をメンバー全体で共有化した。
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Research Products
(12 results)