Research Abstract |
まず,事例の選択に先立ち,戦略的協働が定義された。次に,この定義に合致する協働プロジェクトが探索された。その際,協働プロジェクトの課題分野がある程度の多様性を有するよう配慮された。この結果,次の7つの協働プロジェクトが発見された。北海道NPOバンク,ジャパン・プラットフォーム,霧多布湿原トラスト,パシフィック・ミュージック・フェスティバル,グリーンフリーズ・キャンペーン,人道目的の地雷除去支援の会,北海道グリーンファンドの7つである。 本研究の独自の理論的枠組である協働の窓モデルにもとづいて,協働プロジェクトの事例研究を試みるためには,異なったタイプの膨大なデータが収集される必要がある。そこで本研究では,多様なデータが複数の源泉から収集された。 第1に,協働の窓モデルの構成要素に関連する種々の2次データが収集された。具体的には,協働プロジェクトに関する新聞記事,雑誌記事,研究論文,書籍,リーフレット,各組織のウェブページなどが活用された。 第2に,収集された2次データを利用して,協働の窓モデルにもとづき1次ドラフト(事例のアウトライン)が作成された。 第3に,1次ドラフトの作成に際して,上述の2次データだけでは不明確な点が析出された。具体的には,参加者や協働アクティビストが,いかなる意図にもとづいて当該行動をとったのか,あるいは,何が想定外の(意図せざる)事象であったのか等がリストアップされた。 第4に,これら不明な点に関して,協働アクティビストであると想定される複数の参加者(以下,被調査者)に対して,聴取調査が実施された。 第5に,聴取調査の結果にもとづいて,2次ドラフトが作成された。 本年度当初予定していた質問票調査は,本研究には必ずしも適合的ではないことが判明した。そこで,事例研究の一層の進化を目指した。
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