2010 Fiscal Year Annual Research Report
「都心回帰」時代における大都市の構造変容―大阪市を事例として
Project/Area Number |
20330112
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鰺坂 学 同志社大学, 社会学部, 教授 (60135960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 慎一 神戸大学, 発達科学部, 教授 (40202593)
岩崎 信彦 神戸大学, 文学部, 名誉教授 (20086052)
杉本 久未子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (60340882)
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10254450)
西村 雄郎 広島大学, 総合科学部, 准教授 (50164588)
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Keywords | 都心回帰 / 地域振興会 / 大規模マンション |
Research Abstract |
2010年度は、6回の研究会・エクスカーションを要にして、大阪市の北区連合地域振興町会調査の分析、北区内の大規模マンション住民調査の分析、中央区のターミナル繁華街である難波地域の調査、大阪都市圏にある夜間中学校の調査を中心に研究を進めた。 連合振興町会の調査によると、大阪市の都心区である北区は、19の連合の地区別に分析すると、おおよそ5つの地域特性を持っていることが判明した。旧北区にあたる地域は、(1)ターミナル・繁華街地区(居住民の激減)、(2)商業・業務・住宅混合地区→大規模マンション増加(居住民の急増)、(3)商店街・中小マンション混合地区→大規模マンション増加(居住民の増加)に区分できる。また、旧大淀区の旧工場・労働者居住地区は80年代以降に住商工+集合住宅地区に変動した地区で、これは(4)公的住宅集中地区(居住民の停滞・減少)、(5)戸建・中小マンション+大規模マンション建設地区(居住民の人口増)に区分できる。 マンション住民調査によると、20年以前にできたファミリータイプのマンションでは、住民のコミュニティ意識もあり町会も組織され、一定のまとまりがある。1990年代後半以降に建設された大規模マンションの住民はファミリータイプでも、コミュニティ形成の意思が弱く、また旧来の地域住民との関係も希薄である。さらに、賃貸ワンルーム・マンションの住民は、住民同士もまた地域の旧住民との関係においても交流が全くない。こうして、旧住民と都心回帰により流入してきた新住民との関係には、お互いは物理的・空間的には近接して暮らしていても、社会関係・心理的には全くの擦れ違いが見られることが判明した。 年度末には、これらの研究成果を研究分担者・研究協力者の協力を得て『「都心回帰」時代における大都市の構造変容-大阪市を事例として-』と題した報告書(360頁)を刊行した。
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Research Products
(10 results)