2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会における統制と連帯:階層と対人援助に注目して
Project/Area Number |
20330113
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
景井 充 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30340483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天田 城介 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (70328988)
大谷 いづみ 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30454507)
中井 美樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00241282)
崎山 治男 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20361553)
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Keywords | 社会階層 / 社会参加 / 心理主義 / 統治 / 連帯 / (社会的なもの) |
Research Abstract |
本年度は全体として、前年度の研究成果を受け、全体として社会哲学・社会学理論の探求と、近畿地方における調査票調査という実証研究を行った。それと相互反映的に、研究分担者の個別プロジェクトが取り組まれた。 中井は、昨年度から準備を進めていた調査票調査の実査・データ作成を中心的に行い、現在は分析を進めている。またライフスタイルが個人化しているのかを検討する目的から、文化資本論などにおいて言及されている仮説、および社会参加と社会階層との関連についてデータにより検証を行った。 崎山は、日本における心理主義化の分析を行った。その中で、自己責任原則と心理学的知との併走関係が強化されつつ、現代の統治・統制がなされていく様態を検討した。また、調査票調査においても、医療資源へのアクセスという観点から、現代社会の分断を示そうとしている。 天田は、近代日本社会における老いをめぐる政策と歴史を詳細かつ緻密に分析した上で、近代とりわけ戦後日本社会における老いをめぐる政策と歴史を形成してきたダイナミズムを決剔した。その成果は、編著1冊、多数の分担執筆にて記した。2011年度は更に4冊の単著を刊行する予定である。 大谷は、1)国内外における安楽死・尊厳死論における棄老伝説や武士道の語られ方、2)死の自己決定における「承認」の錯綜について批判的検討を行い、その成果を国際誌と初学者向けテキストにおいて公刊した。 景井は、日本社会の伝統的な人間的紐帯のありかたが伝統的習俗の次元に蓄積されてきたことを指摘し、そうした伝統的習俗が現在の日本社会の中でどのように社会的格差や包摂と排除、また個人化に影響を与えているのかを考察した。 以上のように、本年度は、全体として近年の<社会的なるもの>を考察されるに当たって、格差化・個人化・心理主義化といった概念の妥当性を批判的に精査しつつ、調査票調査でその萌芽的な実証検討がなされた。
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Research Products
(39 results)