2010 Fiscal Year Annual Research Report
「流動社会」における生活最低限の理論的・実証的研究
Project/Area Number |
20330125
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
岩田 正美 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50089968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 宏 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (20113574)
村上 英吾 日本大学, 経済学部, 准教授 (30366637)
圷 洋一 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (50331054)
鳥山 まどか 北海道大学, 教育学研究院, 助教 (40459962)
岩永 理恵 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (60438166)
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Keywords | 生活最低限 / 貧困 / 社会的排除 / 流動社会 / 家計 / 社会福祉 |
Research Abstract |
本研究は、21世紀の流動社会のフレッキシブルな雇用と家族の変容を前提に、この安全装置として新たな生活最低限を次の4つの角度から検討しようとするものである。 (a)生活の基本ニーズの充足とその最低限についての既存理論の整理と現代の生活最低限の理論枠組みの策定。 (b)単身世帯、失業世帯、離別母子世帯、多重債務世帯、ホームレスなどの多様な生活類型における消費(家計)と生活様式を実証的に把握する。 (c)以上を前提に、いくつかのモデル最低生活費を算定する。 (d)現在の日本の所得保障・福祉サービスにおける複数の最低限設定の方式とその背後にある理念を再検討し、基本ニーズの充足との対応関係の合理的ありかたを考察する。 本年度は最終年度として、以下の研究とりまとめを行った。 1)20年度、21年度に実施した家計調査、生活状況調査の分析を高齢世帯、母子世帯を中心に進めた。また単身世帯については特に「生活最低限」を画す生活水準がどこにあるのかを「抵抗点」と赤字黒字分岐点を使って検討した。さらに全国消費実態調査のマイクロデータを利用し、1)と同じ手法で「生活最低限」の水準を探り、本研究での実態調査、全国消費実態調査結果、と生活保護基準との比較を行った。 2)この結果、住居費などで60,897円にその他の消費支出106,327円を加えた167,224円の水準が導き出された。これは生活保護基準より約2万円高い。 3)6月の社会政策学会春季大会(早稲田大学)および10月の貧困研究会の研究大会(北海道大学)において報告した。また「貧困研究」に2度にわたって論文を寄稿した。 4)2月に調査協力機関にむけて報告会を行った。 5)2~3月に報告書作成へ向けて検討を行い、3月末に報告書を完成させた。
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Research Products
(9 results)