2008 Fiscal Year Annual Research Report
自尊心の意味、効用、および既定因に関する比較文化的研究-合理的選択の視点から
Project/Area Number |
20330131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 勧 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80134427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森尾 博昭 札幌大学, 経営学部, 准教授 (80361559)
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Keywords | 自尊心 |
Research Abstract |
本年度は以下の三点について、基礎的な研究を行った。 1.これまでの日本人の自尊心に関する実証的な研究のメタ分析 英文データベース(PsycInfo)だけでなく、日本語論文のデータベース(CINII)および過去の学会発表論文集を渉猟し、2,000以上の関連論文を特定した。その上で、実証的なデータを報告している研究を取り出し、メタ分析を行った。その結果、我が国でも、北米と同様に、自尊心は幸福感、人生満足感、などと正の相関を持ち、抑うつ傾向とは負の相関をもつことを確認した。 2.TIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)データの再分析世界数十力国で行われたTIMSSデータを再分析し、国レベルでは日本人をはじめ東アジア諸国の子供は、北米を中心とする欧米諸国の子供と比べて、自己評価が低いが得点は高い、という傾向があることを確認した。これは東アジアの子供たちが自己批判的である、という説と一貫しているように見えるが、Multi-1eVel analysisにより、個人レベルではこのような傾向はなく、成績と自己評価は正の関係にあることを見出した。さらに、こうした自己評価の国別の差は個人主義・集団主義の次元で説明できることも見出した。 3.自尊心を高める動機と中程度の自尊心を表明することの適応的価値 実験的手法により、日本人大学生には自尊心を高めたいという動機があるが、高い自尊心を表明すると他者から好まれないことを示した。これらの結果は、自尊心の重要性とともにその否定的な側面も示している。
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Research Products
(2 results)