2010 Fiscal Year Annual Research Report
自尊心の意味、効用、および既定因に関する比較文化的研究…合理的選択の視点から
Project/Area Number |
20330131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 勧 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80134427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森尾 博昭 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80361559)
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Keywords | 自尊心 / 比較文化 / 謙遜 |
Research Abstract |
本年度は、以下の二点などについて、実証的な研究および文献研究を行った。 謙遜と自尊心の表出について 謙遜は、日本人およびアジア人に特徴的な心理的な傾向である、と主張されることが多いが、欧米においても謙遜は価値があるものとされている。たとえば、セデキデスは、西洋においても謙遜に価値がおかれ、実証研究によっても実際に欧米人が謙遜する傾向が示唆されている、と主張する(Sedikides,Gregg,&Hart,2008)。今年度の研究では、こうした主張にもとづき、日本、中国、そしてアメリカおよびハンガリーにおいて、謙遜が実際に重要であるかどうかを検討した。その結果、どの国でも被験者は中程度の自尊心の者をもっとも好むことが明らかになった。さらに、能力の知覚に関して、自尊心の高い者ほど能力がある、とみなされるものの、中程度の自尊心を示していても、大きな違いはなく、むしろ、暖かさの点では、自尊心の高い者よりも高く評価されるということがわかった。これまでの結果においても、自尊心の機能的な等質性が比較文化的に確認されている。具体的には、日本および中国で、自尊心は高い幸福感、低い抑うつ傾向、高い楽観性、低い不安、と結びついており、どの文化においても同じような機能を持っていることが確認されている。以上の結果から、自尊心がどのような文化においても、個人にとっては都合のよい特性であるが、他者にとっては必ずしも都合のよい特性ではないものと認知されていることが確認された。こうした視点から、以上の結果を英語論文として公刊する準備を行った。
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Research Products
(2 results)