2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境の不確実性を克服するチーム・コンピテンシーの育成マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
20330134
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 裕幸 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (50243449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 久敬 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30190143)
中村 知靖 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (30251614)
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Keywords | team competency / teamwork / team communication / team management / group dynamics / shared mental model |
Research Abstract |
最終年度となる本年は、チーム・コミュニケーションの様相を客観的かつ詳細に測定し、チームワークをはじめとして、失敗やアクシデントによる精神的落ち込みから回復するチーム・レジリエンスなど、チーム・コンピテンシーを構成する要素との関係性を吟味した。まず、システム・エンジニアを対象とする研究では、メンバー間のコミュニケーション行動を詳細に記録して、ネットワーク分析を行い、チームに成立している対人的コミュニケーション構造を把握した。そして、質問紙調査によってチームワークや職務満足感等を測定し、コミュニケーション行動との関係を分析した。その結果、チーム発達の初期段階で、十分で的確なチーム・コミュニケーションが行われた後は、優良なチームワークが醸成され、むしろ円滑な職務遂行を行うためにコミュニケーションは必要最低限に抑制されることを示す結果を得た。コミュニケーション行動は必要ではあるが効率的な職務遂行にとってはコストであり、チームワークの発達は、そのコストを低減する機能を果たすようになると考察された。看護師チームを対象としたチーム・レジリエンスに関する調査研究では、仕事上の失敗や事故による精神的ダメージは、問題直視と目標設定によって本質的な回復方向に向かうことと、気晴らし行動は長期的には効果がないという結果を得た。 これらの知見に基づいて、本研究では、チーム・コミュニケーションの発達・成熟モデルを新たに構築した。それは、平常時には次第にチーム・コミュニケーションは抑制されていくが、緊急事態やこれまでのやり方を変えるべき事態を迎えたときに、活発なコミュニケーションを行って問題解決を優先するフェーズへとシフトする位相モデルである。これらの知見を基盤に、環境が不確実で変動性に富んでいる状況におけるチーム・マネジメントに必要な要素を洗い出し、それを育成する教育研修プログラム作りに取り組んだ。(797字)
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