2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスマネジメントを用いた禁煙支援プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
20330146
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
山田 冨美雄 Osaka University of Human Sciences, 人間科学部, 教授 (50183687)
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Keywords | ニコチン離脱症状 / 唾液中コチニン / 呼気中CO濃度 / prepulse inhibition(PPI) / 1週間お試し禁煙実験 / リラクセーション |
Research Abstract |
学舎内禁煙を断行したA大学において、学生1200名と教職員200名、および地域住民などを対象として禁支援プログラムを適用して3年が過ぎた。本プログラムは、ソーシャルマーケティングの技法とTrans Theoretical Modelを基本としている。平成21年度は、喫煙状況調査から関心期・準備期の学生を主ターゲットとして、「1週間お試し禁煙実験」と称するプログラムを創作し、併せてニコチン離脱症状の把握、評価法の開発、及びニコチン離脱症状から解消法を模索した。 【1週間お試し禁煙実験】禁煙を断念させる主要因の1つはニコチン離脱症状である。そこで本症状の客観的把握を目的として実験を行った。喫煙者を対象に1週間だけ試しに禁煙を続行させ、その前後と1週間後の計3回、禁断症状を面接評価と後述の他覚的査定を実施した。禁煙続行が確認された場合には金銭報酬を与えた。対象者は喫煙者5名であった。禁煙実行の他覚的査定には呼気中CO濃度と唾液中コチニンを用いた。ニコチン離脱症状としての注意散漫状態はPPI(prepulse inhibition)により査定を試みた。PPIとは110dBの白色雑音に対す驚愕反射を眼輪筋EMGにより測定し、70dBの先行音による抑制効果を3種の先行時間(50ms,100ms,500ms)で評価するものであった。ニコチン離脱症状はPPIを消失・低減させることが期待されたが、対象者のニコチン依存度が高くなかったことから、禁煙実行によるニコチン離脱症状も軽く、顕著なPPI減弱は確認できなかった。本実験によって5名中2名は、リラクセーション訓練と認知行動療法の技法を併用しつつ、3ヶ月以上禁煙を続行している。禁煙行動開始のきっかけとして、お試し禁煙実験が有効に機能した事例と言えよう。なお別の大学生20名を対象として、PPIに及ぼす喫煙の効果を視覚先行刺激を用いて比較したが、喫煙による影響は確認できなかったことを付加しておく。
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