2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 耕二 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (60192754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 靖 立教大学, 理学部, 准教授 (80343200)
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Keywords | 多重ゼータ関数 / ルート系 / コンパコトLie群 / ベルヌーイ数 / Euler-Zagier和 / 双曲線関数 |
Research Abstract |
当該年度に研究が進展したのは、(i)単連結とは限らないコンパクトLie群に付随した多重ゼータ関数の理論、(ii)ルート系のゼータ関数の立場からのEuler-Zagier型多重ゼータ値の研究、などである。まず(i)に関しては、weight格子の部分格子に対応する多重和としてコンパクトLie群のゼータ関数を導入し、Weyl群に関する対称性を用いてその特殊値を明示的に与える公式を証明すると共に、個別の格子に対応する具体例がルート系のゼータ関数の和を合同条件付きに制限した形になっていることを示し、さらにそれらの間に成り立つ関数関係式をいくつかの具体的な場合に導出した。また(ii)については、Buler-Zagier型の多重ゼータ関数をルート系のゼータ関数の特殊な場合と見なすことによってshuffle積構造などの理論に新しい光を殺げかけることができることは既に当研究課題についての昨年度までの研究の中で明らかにされていたが、今度はEuler-Zagier型多重ゼータ関数をC型ルート系のゼータ関数の特別な場合と捉えることによりC型ルート系がsimply-lacedでないことを利用して、新しいタイプの値の関係式を得ることに成功した。また同様の議論をB型ルート系に適用すれば、Zagier型の和を少し変形した多重和についての類似の結果も得られることが判明した。これらはEuler-Zagier型の和だけに注目していたのでは気づけない新知見だと思われる。この他、双曲線関数を含むCauchy-Mellin型の和についても研究の進展があった。
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