2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有木 進 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (40212641)
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Keywords | 巡回ヘッケ代数 / モジュラー分岐則 / Khovanov-Lauda代数 |
Research Abstract |
Jacon氏とLecouvey氏との共同研究でA型affine Hecke代数に対するモジュラー分岐則を証明した。この結果から直ちに従う応用としてGinzburg氏によって幾何的に定義された既約表現を、cellular代数の理論を用いて代数的に構成されたより分かりやすい既約加群と同定することが可能になった。幾何的に構成された既約加群はaperiodic multisegmentを用いて分類され、代数的に構成された既約加群はmulti-partitionを用いて分類される。この2つの記述のあいだの対応を同じ既約加群を与えるように定めるのが、「同定」の具体的な意味であるが、この対応が柏原クリスタルの同型写像で与えられることを示し、同型写像も具体的に書き下した、というのが主結果である。 モジュラー分岐則は元々Kleshchev氏が対称群の場合に理論を打ち立て長年の未解決問題であったMullineux予想を証明したのが発端であるが、Leclerc氏により柏原クリスタルとの関係が注意され、また我々の研究グループにより巡回ヘッケ代数等への一般化が予想されていた。巡回ヘッケ代数に対する予想は当該研究者が前回の研究課題を遂行中に証明したものであるが、今回affine Hecke代数に対してもモジュラー分岐則を証明したことから、上記の応用が得られたものである。本成果は論文にまとめてすでにThe modular branching rule for affine Hecke algebras of type A (arXiv:0808.3915)として公開済である。 Finite dimensional Hecke algebrasというサーベイ論文を発表するとともに研究の開始年度であることに鑑み、巡回ヘッケ代数の研究の現状とこれからの問題意識を議論するために、関連する専門家を集めてOberwolfachのような合宿型集会を開催した。研究集会の詳細はhttp://www.kurims.kyoto-u. ac. jp/〜ariki/Tambara08.htmlを参照されたい。 年度後半にはKhovanovとLaudaにより導入された代数を調べた。この代数に関する発展は急で、本年度2月に至り巡回ヘッケ代数の理論にとって重要な進歩がBrundan-Kleshchev、Varagnolo-Vasserotらにより立て続けに公開されたところである。3月にはCambridgeに1か月滞在し、この代数に関してさらに研究を続けている。
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Research Products
(3 results)