2009 Fiscal Year Annual Research Report
最適異時点間リスク配分とそのファイナンスおよび保険への応用
Project/Area Number |
20340015
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 昭彦 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (50168431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 耕一郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20241292)
笠原 雪夫 北海道大学, 大学院・理学研究院, 非常勤講師 (10399793)
|
Keywords | ファイナンス / 保険 / 最適異時点間リスク配分 / 指数効用 / 保険料計算原理 / 動的リスク測度 / 時間に関する一貫性 / 均衡価格 |
Research Abstract |
多期間の設定における保険などの非完備市場的商品の定量的評価に向けて、最適異時点間リスク配分という独自の観点から研究を行った。これに関し、ビュールマンの均衡価格理論的な価格原理の導出を、多期間の設定に拡張する研究を行った。ビュールマンは1期間の設定において、ボーチによるアロー・ドブリュー均衡の特徴づけを指数効用関数に適用することにより、いわゆるビュールマンの価格原理を導いた。さらに独立性に関する特別な条件を市場モデルに課すことにより、この価格原理からエッシャー原理が導かれることも示した。研究代表者は、最適異時点間リスク配分の概念を用いてアロー・ドブリュー均衡の定義の多期間版を導入し、またボーチの特徴付けをこの場合に拡張した。これを指数効用関数に適用し、マルチンゲールに関するある興味深い結果を用いることにより、この場合にはアロー・ドブリュー均衡が明示的に求められことを示した。それはビュールマンの価格原理の多期間への一つの拡張と見なすことができる。また、ビュールマンの独立性に関する条件と同様の条件を課すことにより、エッシャー原理の多期間への一つの拡張を導いた。さらに、これを保険商品に適用し、その価格を求めるアルゴリズムを導いた。一方、この多期間版のビュールマンの価格原理から、時間に関する一貫性(time-consistency)を持つ動的リスク尺度に関する興味深い知見が得られた。動的リスク尺度は時間の経過と共に変化する状況をリスクの定量的評価にどのように反映させるべきかという問題意識から生まれた概念である。いわゆる時価評価の問題とも密接に関係している。このように、研究目的及び実施計画に沿った十分な成果が得られたと考える。これらの研究成果は、京都大学における国際ワークショップ等において発表された。
|
Research Products
(7 results)