2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
九後 太一 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00115833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 盛光 新潟大学, 理学部, 教授 (90108366)
久保 治輔 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40211213)
寺尾 治彦 奈良女子大学, 理学研究科, 教授 (40192653)
小林 達夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60322153)
前川 展祐 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40273429)
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Keywords | 超対称弦 / ニュートリノ振動 / 非可換離散対称性 / フレーバー対称性 / くりこみ群 / 最小超対称標準模型 / E_6大統一理論 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
九後は、超対称弦の場の理論において長年の懸案であったゲージ固定の問題に取り組み、いわゆる描像変換演算子のカーネルの存在の下で正しい量子化に導くゲージ固定条件を同定した。 谷本は、T2K Daya bay等のニュートリノ振動実験で測定された比較的大きなレプトン混合行列角θ_<13>を説明するモデルをフレーバーの非可換離散対称性から構成出来ることを示し、そのモデルの検証方法を検討した。また、B中間子のCPの破れの実験結果よりスクォークのフレーバー構造を明らかにした。 久保は、有限群Q_6に基づくフレーバー対称性を導入した超対称モデルにおいて、暗黒物質の質量と中性子の電気双極子モーメントが、B中間子によるCPの破れの大きさと密接に関連することを見出し、LHCbで検証可能であることを示した。暗黒物質が存在できるパラメータ領域が大幅に広がることも見出した。 寺尾は、多フレーバーQCDのゲージベータ関数をウィルソン流くりこみ群を用いて非摂動的に評価し、フレーバー数が変わるにつれスケール不変な理論から自発的破れを起こす理論に連続的に移行する過程を初めて明らかにした。また、近似を改善し、クォーク質量の異常次元等の物理量を評価した。 小林は、最小超対称標準模型(MSSM)に1重項を一つ加えたNMSS模型のヒッグスポテンシャルとその真空の構造を解析した。現実的な真空が他の真空よりもポテンシャルが深いと要請すれば、ヒッグスセクターに重要な制限がつくこと、特に、軽いヒッグスに1重項スカラー場が大きく混ざれないことを示した。 前川は、世代対称性を持つE_6大統一理論を超弦理論から導出することを試みた。これまで一つしか知られていなかった3世代を持つ4次元E_6大統一理論を新たに2つ発見することができた。 これらの分担者達の研究活動の他、この研究計画の主目的の統一理論構築に向けた滞在型研究会、第17回「Summer Institute 2011」を2011年8月12-18日の7日間富士吉田で開催し、日本から57名、韓国・台湾・中国から5名、欧米から5名、計67名の参加を得た。
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