2008 Fiscal Year Annual Research Report
CERN LHCf実験遂行と超高エネルギー核相互作用モデルの選別
Project/Area Number |
20340058
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笠原 克昌 Waseda University, 理工学術院, 教授 (00013425)
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Keywords | 超高エネルギー宇宙線 / GZKカットオフ / CERN LHC / 多重発生 / 各相互作用モデル |
Research Abstract |
超高エネルギー宇宙線の組成、起源,伝播には未だ未解決の謎が多くある.それを解決する大なステップとし超高エネルギーでの核相互作用の解明がある.具体的には我々のLHCf装置で取得したデータと各種核相互作用モデルの予言を比較してモデルの選別をする. LHCは目標の7TeVx7TeVの衝突以前に幾つかの低エネルギーでの衝突を実現させる.20年度は最初のビームが出て順調なら低エネルギーでのデータを取得できる予定であった.しながら,その道程は手探り状態で,CERNにほぼ常駐態勢を敷き待機する必要があった,450GeVのビームが出た直後に加速器の故障によりLHCfの測定器の調整、LHC加速器やATLAS装置との連携調整が中途で終わり、当然ながらデータ取得はならなかった. この初期調整を行うため予算を繰り越した.LHCは1年遅れで再起動されることになり,LCHfも21年9月から再び準備態勢に入った.12月までの滞在中に450GeVでの衝突が実現し、データ取得の作業ができ、準備態勢に問題がないことが確認できた.450GeVのデータはもともとエネルギー的に我々の目標より遥かに低く,ガンマ線に関しては有為なデータはとれないと想定していた.ただし、得られたデータのスペクトルはシミュレーションデータと良い一致を示し,LHCfシステムのハード・ソフトの健全性が確認できた.中性子に関しては幾つかのモデルで450GeVでも差があることがシミュレーションで示されていた.特にdpmjet3モデルとqgsjet2モデルには高エネルギー中性子スペクトルに大きな差がある.現在まで統計は十分ではないが、qgsjet2モデルとの一致がよいという興味ある結果が得られている.
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Research Products
(15 results)