2010 Fiscal Year Annual Research Report
CERN LHC f実験遂行と超高エネルギー核相互作用モデルの選別
Project/Area Number |
20340058
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笠原 克昌 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00013425)
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Keywords | 超高エネルギー宇宙線 / LHC加速器 / 空気シャワー / ハドロン相互作用 / モンテカルロ / 宇宙物理 |
Research Abstract |
本研究はCERN LHCのビーム衝突により発生する超前方の中性粒子を観測し,そのエネルギースペクトルを求め,宇宙線研究に用いられている各種のモンテ・カルロ・シミュレーション・コードと比較し,コードの検証やコード改良に資するのが目的である。超高エネルギー宇宙線の起こす空気シャワーの観測から入射粒子のエネルギーや核種の決定にはモンテカルロ・シミュレーションが不可欠である.LHCのエネルギーは宇宙線の最高エネルギーに匹敵するので,これにより超高エネルギー宇宙線現象の謎の解明に役立てると期待される. LHCは事故等で当初より大幅に予定が遅れているが,2009年末に実験室系換算でE=4.3x10^14eVの衝突が,2010年3月末よりE=2x10^16eVの衝突が実現した.4月からは我々の検出器も本格稼働を開始し,大量のデータ取得に成功し,7月末に観測を終了,検出器を取り出した.11月にはCERN SPSのビームを用いて較正実験を行った.データ解析で導出したガンマ線のエネルギー・スペクトルと6種のモンテカルロ・コードとの比較では,実験のスペクトルは1~2のコードを除いて大半のものよりソフト(エネルギーの高い成分が少ない)であった.実験のハドロン(主に中性子)スペクトルは逆に大半のコードよりハードであった.我々の実験とは逆に中心領域を見る他の実験結果と総合するとこれまで使われていたモンテカルロ・コードはすべてLHC領域では破綻すると言ってよい.新しいモデル構築が必要である.現在ガンマ線のスペクトルについて論文を執筆中である.ハドロン成分の結果なども解析を深めて順次論文にする段階になっている.さらに,これらの結果を踏まえ~2014年に実現されると期待されるE=10^17eVでの実験を行うべく検出器を放射線に強いものに改良中である
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Research Products
(35 results)