2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の化学進化の解明にむけた非抵抗型マイクロカロリメータの開発
Project/Area Number |
20340068
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
山崎 典子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (20254146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹井 洋 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30509857)
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Keywords | X線天文学 / マイクロカロリ / 宇宙の化学進化 |
Research Abstract |
宇宙の化学進化の解明には、複数の元素の存在量を測定し、その生成と拡散のプロセスを追うことが必要である。X線を用いた、超新星残骸、銀河、銀河団等の観測では、元素量を正確に測定することが可能であり、現在X線天文衛星「すざく」等を用いた観測的研究を行っている。今年度は、我々の銀河系内における、これまで観測が難しかった300万度程度の高温星間ガスの分布について、酸素輝線と吸収線を用いることで、数kpcに渡る広がりを持ったガスの存在を定量的にしめし、銀河から銀河外空間への重元素の脱出可能性を調べ、論文にまとめた。またより大きな構造である超銀河団において、高温ガスを探すことで重力による構造形成過程の研究を続けている。さらにこれまでの検出器の感度を越える新たな分光素子の開発を行っている。特に低温で大きな誘電率をもつ酸化物ペロブスカイト誘電体の一種であるSrTiO3(STO)を温度計として用いることで、抵抗によるフォノンノイズを減らし、高周波技術で信号を多重化する新たなカロリメータアレイを目指している。今年度は、酸素を同位体に置換したSTO結晶の1K以下での誘電体特性を測定した。これは世界初の測定であり、酸素濃度による振舞いの違いが明確で見られ、温度計感度のコントロールが可能である。また極低温で動作する超伝導配線を用いたGHz帯共振回路の設計を行っており、これらを組み合わせたカロリメータの設計を始めている。
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Research Products
(2 results)