2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340078
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 茂生 Osaka Prefecture University, 大学院・工学研究科, 教授 (20251613)
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Keywords | リラクサー誘電体 / 強誘電体 / 電気磁気効果 / 電子顕微鏡 / ドメイン構造 / ローレンツ電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、反強磁性強誘電体BiFeO_3とペロブスカイト型強誘電体BaTiO_3との混晶化合物(1-x) BiFeO_3-xBaTiO_3に着目し、良質な多結晶試料を作成するとともに、磁気・誘電特性および、BaTiO_3固溶量の増加に伴う結晶構造の変化や強誘電分域等の微細構造の変化について透過型電子顕微鏡法を用いて調べた。また、電気磁気効果の有無を明らかにするために、東京大学物性研究所国際超強磁場科学研究施設においてOT〜55T下での電気磁気効果について研究を行った。今年度得られた研究成果は以下のとおりである。 (1)BiFeO_3にBaTiO_3を固溶させると、反強磁性状態からキャンティング弱強磁性状態へと変化し、(1-x) BiFeO_3-xBaTiO_3は室温で強磁性秩序と強誘電性秩序が共存するマルチフェロイック物質であることがわかった。 (2)本物質系は、x=0.33近傍で菱面体構造から立方晶構造へと構造相転移するとともに、x>0.33組成で存在する立方晶構造は、立方晶構造中にナノスケールサイズで強誘電性を有する菱面体構造が存在する2相共存状態として特徴づけられることが明らかとなった。 (3)BiFeO_3の強誘電相では、巨視的な強誘電分域構造が形成されている一方、BaTiO_3を固溶することにより、強誘電分域は微細化され、x=0.30試料では、約20〜30nm程度の大きさの強誘電分域が形成されていることを見出した。 (4)4.2K,50K,150Kおよび300Kにおける55テスラの磁場印加による電気分極の磁場依存性を測定した結果、顕著な電気分極の増加は観察されなかった。今回測定したBiFeO3-BaTiO3(x=0.25)試料では、磁気構造がらせん磁気構造からキャント磁性構造に変化するため、電気分極の顕著な磁場依存性が観測されなかったと考えられる。
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Research Products
(18 results)