2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340078
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 茂生 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (20251613)
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Keywords | リラクサー / 誘電体 / 磁性体 / 透過型電子顕微鏡 / ローレンツ電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、(1)添加元素による不均質構造の制御(2)フラストレーション効果を利用した不均質構造の制御により、広温度範囲において巨大な磁場応答、誘電応答および外力応答を示す新たな磁気・誘電リラクサー物質群の探索および機能開拓を行なうとともに、室温で磁性と誘電性が共存する磁気・誘電リラクサー物質の探索を行った。以下に得られて研究成果を示す。 ・ フラストレーション三角格子系希土類・鉄複酸化物LuFe_2O_4における電荷秩序構造の特徴および秩序過程について主に透過型電子顕微鏡法により調べた。特にLuFe_2O_4における電荷秩序構造および磁気的・電気的特性は、Fe^<2+>とFe^<3+>の存在比に大きく依存することが明らかとなった。また、Fe^<2+>とFe^<3+>の存在比が1対1より大きくずれるような場合(系の不均一性が起きくなる場合)、電荷秩序構造はほとんど発達せず2次元的な秩序構造で存在し、電子回折パターン中にストリーク状の散漫散乱を与える。一方、Fe^<2+>とFe^<3+>の存在比が1対1である場合(またはその比に近い場合)は、2次元的な秩序構造から3次元的な秩序構造へと変化すると同時に、自発分極の発現を伴い、電荷秩序型強誘電体と呼ばれる新しい原理に基づいた強誘電体となることが分かった。 ・ (1-x)BiFeO_<3-x>BaTiO_3混合酸化物において、Ba置換量(x)を変化させると、x>0.33以上で強誘電ナノドメインが生じ、圧電特性が向上することがわかった。また、ローレンツTEMの結果、x~0.33において数ナノメートルの磁気的ナノドメインが形成され、磁気誘電リラクサー状態になっていることが示唆された。 ・ MPB領域をもつ(1-x)PMN-xPT系誘電体において、MPB領域で単斜晶構造が存在し、ナノスケールの階層的なドメイン構造が形成されていることがわかった。また、各ドメインでの分極方向を決定し、巨大圧電応答の起因が、ナノドメインの存在と分極回転の自由度に起因することが明らかとなった。
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Research Products
(20 results)