2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド超伝導体とその関連物質の電子状態:バンド半導体-金属転移と超伝導
Project/Area Number |
20340091
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横谷 尚睦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90311646)
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Keywords | ダイヤモンド超伝導 / 電子状態 / 光電子分光 / 半導体-金属転移 |
Research Abstract |
本研究課題では、ダイヤモンド超伝導体と関連物質(シリコンやSiC超伝導体等)に対して幾つかの光電子分光を組み合わせドーピングによる電子状態変化等を研究することにより、まだ十分に理解されていないバンド半導体の半導体-金属転移及び超伝導機構の解明を目指す。本年度は、高濃度ホウ素ドープダイヤモンド超伝導体において(1)ダイヤモンドバンドと不純物バンドの関係と(2)ホウ素濃度と有効キャリアー濃度の相関を明らかにするために、薄膜試料の逆光電子分光、高温・高分解能光電子分光、軟X線高分解能内殻光電子分光測定を行った。(1)に対しては、超伝導を示す試料を用い、より高分解能の実験を行うことにより、ダイヤモンドバンドがフェルミ準位を横切ることを明瞭に観測することに成功した。この結果は、10K前後の高い超伝導転移温度を示す試料においては、ダイヤモンドバンドがその伝導特性に重要な役割を担うことを示している.(2)に対しては、ホウ素ドープダイヤモンド薄膜の内殻準位スペクトルのホウ素ドープ料依存性を測定し、ドープされたホウ素サイトが少なくとも3つあること、そのうちの置換サイトと考えられるサイトが超伝導と最も密接な相関を持つことを示した。この結果は、ホウ素ドープダイヤモンドにおいて観測されてきたホウ素濃度と有効キャリア濃度の違いが、ドープホウ素のドープ位置の違いに起因することを示し、選択的に置換サイトにドープすることがより高い超伝導転移温度達成の鍵を握ることを示唆する。加えて、グラファイトインターカレーション超伝導体で最高の超伝導転移温度を持つCaC6について軟X線光電子分光を行い、フェルミ準位近傍の電子状態にCa3d成分が多く含まれることを実験的に示した。
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