2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド超伝導体とその関連物質の電子状態:バンド半導体-金属転移と超伝導
Project/Area Number |
20340091
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横谷 尚睦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90311646)
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Keywords | ダイヤモンド超伝導 / 電子状態 / 光電子分光 / 半導体-金属転移 |
Research Abstract |
本研究課題では、ダイヤモンド超伝導体と関連物質に対して幾つかの光電子分光を組み合わせドーピングによる電子状態変化等を研究することにより、まだ十分に理解されていないバンド半導体の半導体-金属転移及び超伝導機構の解明を目指す。本年度は、高濃度ホウ素ドープダイヤモンド超伝導体関連物質について光電子分光によりその電子状態を明らかにした。高濃度ホウ素ドープSiについては、角度分解光電子分光により価電子帯のホウ素濃度依存性を測定し、バルクで超伝導は示さないながら金属特性を示す試料に関して価電子バンド分散頂上がフェルミ準位よりも低エネルギーにとどまることを見いだした。この実験結果は、高濃度ホウ素ドープダイヤモンド超伝導体において、半導体試料の実験結果と良く似ていることがわかった。高濃度リンドープダイヤモンドに関しては、内殻準位スペクトル測定からリンについて複数の化学サイトの存在を見いだした。リンドープダイヤモンドでは高濃度ドープ試料においても金属化が実現していない。実験結果はその原因を理解する上で重要な実験結果となりうる。グラファイトインターカレーション超伝導体で最高の超伝導転移温度(Tc)を持つCaC6について共鳴光電子分光を行い、フェルミ準位近傍の電子状態にCa3d成分が多く含まれることを直接的に示し、Ca3dの存在が高いTcと密接に関連していることを突き止めた。この結果は、グラファイトインターカレーション超伝導体においてより高いTcをもつ物質探索に指針を与えるとして新聞にも取り上げられた[日経産業新聞2009年7月31日(黒鉛系の超電動物質独自の電子構造解明岡山大臨界温度上昇に期待)]。極最近超伝導性が報告された芳香族多環縮合炭化水素ピセンの半導体-金属転移に伴う電子状態を調べる為に、光電子分光および発光・吸収分光測定を行い、純粋ピセンの電子状態とKドープによる電子状態変化の観測に成功した。光電子分光研究と並行して、高濃度ホウ素ドープダイヤモンド超伝導体高品質薄膜の作製を目的として、ホットフィラメント化学気相体積法によるダイヤモンド薄膜作製塗行った。
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Research Products
(12 results)