2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340108
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
平野 琢也 Gakushuin University, 理学部, 教授 (00251330)
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Keywords | エンタングルメント / 量子通信 / 量子テレポーテーション / リング干渉計 / 非分離性基準 / 量子エレクトロニクス / 応用光学・量子光工学 / 光源技術 |
Research Abstract |
平成20年度は、主に、通信波長帯のパルス光源(繰返周波数5KHz以下)、および高繰り返し周波数(76MHz)のモード同期パルスレーザー(波長1064nm)を光源として用いた実験を行った。通信波長帯の実験では、リング干渉計を用いた安定なエンタングルメントの生成を実現し、生成したエンタングルメントが非分離性基準を満たしていることを時間領域のホモダイン検出により確認した。時間領域の検出とは、一つのパルスを一つのモードとして近似することが妥当な条件下で検出を行い、一つのパルスについて一つの直交位相振幅を測定するもので、通信波長帯エンタングルメントの時間領域の検出を実現したのは、我々の知る限りにおいて、本研究が初めてである。さらに、エンタングルペアの対応関係が明確であるという本実験の特徴、すなわち、ある一つのモードとエンタングルしているペアとなるモードを実験的に明確に分離して測定できるという特徴を生かして、事後変位操作による量子テレポーテーションの実証実験を行い、古典限界を上回ることを示すことができた。高繰り返しパルス光源を用いた実験は、パルス時間幅が7psecであり、パルス間隔が13nsecであるという特徴により、空間的に離れた2つの場所における測定を、因果的に分離することが容易である。本研究では、自作した高速ホモダイン検出器を用いて、従来よりも2桁程度高い繰り返しのパルス光に対して、時間領域で非分離性基準を確認し、さらに、2つの検出器を4m離すことにより、我々の知る限りで初めて、連続変数エンタングルメントを因果的に分離して実証することができた。この他、光ファイバーを通して量子状態を伝送する実験も行ったところ、過剰雑音の増加が見られた。今後、エンタングルメントの光ファイバー伝送を行うためには、過剰雑音の原因を明らかにし、低減する必要がある。
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