2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340108
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
平野 琢也 学習院大学, 理学部, 教授 (00251330)
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Keywords | エンタングルメント / 量子通信 / 量子テレポーテーション / リング干渉計 / 非分離性基準 / 量子エレクトロニクス / 応用光学・量子光工学 / 光源技術 |
Research Abstract |
昨年度までに、高繰り返しピコ秒レーザーを光源とし、周期分極反転したLiNbO_3光導波路中のパラメトリック過程によりエンタングルパルスを発生し、因果的に分離するのに十分な距離を離した測定を実現することができた。ただし、測定されたエンタングルメントは、2つの場所の状態が直積で表すことができないという非分離性基準は満たしていたが、局所実在論と量子力学の不適合性を示すEPR基準を達成することは出来ていなかった。そこで、本年度は、エンタングルメントの質を高めEPR基準を満たすことができるよう、スクイージングを改善するための研究を行った。そして、ホモダイン検出に用いる局部発振光のパルス時間幅を制御することで、真空雑音の圧搾を大きく改善することができた。具体的には、パラメトリック増幅により、局部発振光のパルス時間幅を短くした。パラメトリック増幅は、位相に敏感な増幅であるため、基本波とパラメトリック増幅の励起光となる第2高調波の相対的な位相差が安定するように、これらが同じ光路を通る光学系を用いた。このとき、基本波と第2高調波のパルスの相対的な遅延時間を制御できるように、偏光ビームスプリッタと波長板、鏡で構成される簡便かつ安定な遅延時間制御用光学系を考案して用いた。これは、パラメトリック増幅の特性が遅延時間に敏感に依存することが分かったためである。ホモダイン検出の効率を測定される量子雑音の増減の非対称性からホモダイン検出の効率を見積もったところ、大きく向上したことを確認することができた。ピコ秒パルスに対する波形整形に成功したのは本研究が初めてである。測定された量子雑音は、真空の雑音よりも-4.5dBも小さくなった。この値はEPR基準を達成するために十分なものであり、我々の知る限りにおいて、因果的な分離に有利なモード同期レーザーの実験では最良であり、また、周期分極光導波路を用いた実験としても最良の値である。
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