2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯の気候変動モードの長期変調と海の温暖化現象に関する研究
Project/Area Number |
20340125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 俊男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50091400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東塚 知己 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (40376538)
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Keywords | 気候変動 / ダイポールモード現象 / 地球温暖化 / インド洋 / セーシェルドーム / 大気海洋結合モデル |
Research Abstract |
1.海洋大循環モデルの結果を解析することにより、セーシェルドーム(南西インド洋熱帯域の大規模湧昇ドーム現象)直上の海面水温の変動メカニズムを調べた。その結果、季節変動は、主に海面熱フラックスと水平移流によることがわかった。また、経年変動は、鉛直拡散偏差(ドームが弱い時は温度躍層が深くなり、混合層直下の水温が暖かくなるので、冷却効果が弱まる)と水平移流偏差(東風偏差による南向きのエクマン熱輸送偏差)によることが明らかになった。 2.ダイポールモード現象のテレコネクション(遠隔地への影響)により、イラン南部では、秋(雨季の前半)の降水量が正のダイポールモード現象発生時に増大することが観測データの解析により明らかとなった。 3.観測データの解析により、亜熱帯ダイポールモード現象は、1990年代半ば以降、2年周期の変動が卓越することが明らかとなった。この現象の発生に重要な亜熱帯高気圧の強さに大気テレコネクションによって影響を与えるインド洋熱帯域のダイポールモード現象も近年、周期が2年前後に短周期化しており、熱帯域からの影響が示唆される。また、熱帯域の気候変動現象だけではなく、南極周極波動や南極振動等の高緯度の気候変動現象も亜熱帯ダイポールモード現象の発生に重要な役割を果たしてことが大気海洋結合モデルの実験より明らかとなった。さらに、亜熱帯ダイポールモード現象の減衰は、正(負)極では、負(正)の潜熱偏差と混合層と混合層直下の温度差が増大(減少)することに起因するエントレインメント偏差によることが示された。
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Research Products
(68 results)