2008 Fiscal Year Annual Research Report
現生・化石貝類の微細成長縞を用いた生物-環境相互作用の高時間精度復元
Project/Area Number |
20340143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棚部 一成 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 有司 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50162524)
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
佐々木 弓猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
白井 厚太朗 東京大学, 海洋研究所, 研究機関研究員 (70463908)
遠藤 一佳 筑波大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80251411)
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Keywords | 貝類 / 微細成長縞 / 生物-環境相互作用 / 生物地球化学 / 高時間精度復元 / 完新世 / 気候変動 / 生活史 |
Research Abstract |
1.現生・化石二枚貝類の微細成長縞クロノロジーに関する研究 東京湾の潮間帯に生息する二枚貝類のうち、足糸付着型表性種のムラサキイガイと内生種のカガミガイをモデル生物として、マーキング法個体の成長履歴と微細成長縞との対比から、微細成長縞と微細成長線2セットが朔望目ごとに形成されることを明らかにするとともに、微細成長縞プロフィールにカレンダー日付を挿入する手法を開発した。その結果、齢ごとの年間微細成長縞の付加パターンの解析から、成長開始時期、年間成長日数を特定することが可能となった。さらに、成長期間の環境データや生殖巣の発達様式と比較することによって、朔望目輪の成長に及ぼす環境要因や生殖サイクルと殻成長の関連性を明らかにすることができた。 次いで、現生種での解析結果を日本各地から産した放射性炭素年代値がわかる完新世化石カガミガイに応用して微細成長縞の解析を行った。その結果、過去8000年間の旧本列島の沿岸気候変動に応答してカガミガイの成長特性が変化したことが明らかになった。これらの成果は、国際誌Palaeogeography,Palaeoclimatologu,Palaeoecology誌およびMarine Biology誌に投稿中である。 2.生物地球化学的解析 東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センターのレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)による二枚貝殻試料の微小領域微量元素分析法の確立を行った.その結果、数10マイクロメートルの空間分解能で約10元素組成に関して数%の精度で分析することが可能になった.その後,LA-ICP-MSにより現生カガミガイ殻,現生ムラサキイガイ殻,化石カガミガイ殻の分析を行い,現在それらの分析データを解析中である.成果が得られ次第、順次国際学術雑誌に投稿予定である。
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Research Products
(5 results)