2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラルホスホニウム塩の構造制御を基盤とする触媒機能創出と実践的不斉合成への活用
Project/Area Number |
20350018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大井 貴史 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80271708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦口 大輔 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70426328)
大松 亨介 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00508997)
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Keywords | 有機化学 / 不斉合成 / ホスホニウム塩 / 酸・塩基触媒 / 分子認識 |
Research Abstract |
最終年度に得られた成果を、四つの方針ごとに以下にまとめる。 (1) トリアミノイミノボスホランの強塩基触媒作用の創出と応用:キラルなトリアミノイミノホスホランの有機強塩基触媒としての潜在的可能性をさらに追究し、高アンチ及びエナンチオ選択的ヘンリー反応を鍵段階とする生理活性化合物及び有用医薬中間体の短段階での触媒的不斉合成を達成した。 (2) 機能性イオン対型均一系触媒作用の創出と応用:アミノホスホニウムフェノキシドがフェノール2分子を組み込み、イオン間相互作用と水素結合のネットワークによって自発的に形成する複合体の溶液中での挙動を詳細に調べた。その結果、カチオン部位の共役塩基であるイミノホスホランに対するフェノール類の当量を調整するだけで、3種類の異なる会合体を選択的に発生させ得ることを見出し、キラル有機小分子会合体触媒の構造多様性の拡張に成功した。さらに、溶液中での会合体形成が溶媒の極性の影響を強く受けることを明らかにし、この知見を、2位無置換アズラクトンのニトロオレフィンへの立体選択的共役付加反応の実現につなげた。 (3) キラル相間移動触媒作用の創出と応用:N-アルキル型テトラアミノホスホニウム塩のさらなる構造修飾を図り、母体となるキラルジアミンの簡便な不斉合成法を確立した。また、これによって得られる触媒の評価を、チアゾロン誘導体のアルキル化反応において行った。 (4) キラルブレンステッド酸触媒作用の創出と応用:ビナフチル骨格を有するキラルなN-H型ホスホニウム塩の4つの窒素原子の内の2つを酸素原子に置換したブレンステッド酸触媒の特徴を活かし、α-アミノ酸から誘導したケテンジシリルアセタールの触媒的不斉プロトン化反応を開発した。
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Research Products
(5 results)