2009 Fiscal Year Annual Research Report
環状型テトラピロール錯体を活用する多核錯体ナノ構造体の高機能化
Project/Area Number |
20350029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 正明 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (90260033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
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Keywords | 多核錯体 / 環状構造 / 架橋配位子 / レドックス / 混合金属錯体 / フェロセニルカルボン酸イオン / ポルフィリン / ポルフィセン |
Research Abstract |
本研究は多核金属錯体と生体関連錯体およびそのハイブリッド体を対象としたナノサイズ分子を合成し、その光・電子機能、分子認識挙動、触媒機能の発現と制御に関する研究を行ない、金属錯体を主体とした新しい分子材料・触媒システムの創成を目指すものである。本年度は以下に示す成果を得た。 1) ループ状連結構造体の合成と機能評価:ルテニウム三核錯体をユニットとした環状の構造体をワンポットで合成することに成功した。環状錯体の酸化還元特性は、三核錯体を連結する架橋配位子の種類(ピラジン、4,4'-ビピリジン、ビス(4-ピリジル)プロパン)に大きく依存することをサイクリックボルタンメトリーと微分パルスボルタンメトリーの測定により明らかとした。 2) 三核錯体とテトラキス(3-ピリジル)ポルフィリンを配位結合で連結した新規なハイブリッド型箱状多核錯体を合成した。箱状錯体の紫外光照射によるCO配位子脱離反応ならびにポルフィリン環へのZn(II)イオン導入が可能であることを確認した。この反応を利用することで、箱状錯体をユニットとした構造体形成が可能である。 3) 混合金属三核錯体の架橋カルボン酸イオンが金属サイトの置換活性度の違いにより位置選択的かつ段階的に異種カルボン酸イオンと置換できることを見出した。この反応性を利用し、レドックス活性なフェロセニルカルボン酸イオンを架橋配位子として位置選択的に導入した新規混合金属錯体を合成し、その酸化還元特性を明らかとした。 4) 前年度合成に成功したルテニウムを中心金属とするポルフィセン錯体の電気化学的性質ならびに軸配位子交換反応の速度論的研究に着手した。関連するポルフィリン錯体との比較検討により、ポルフィセン環の電子供与性が酸化還元電位と置換反応性に影響を及ぼしていることが明らかとなった。
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Research Products
(12 results)