2010 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧水を用いた反応選択的分離分析システムの開発と高温水化学反応解析への展開
Project/Area Number |
20350034
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
渋川 雅美 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60148088)
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Keywords | 高温高圧水 / クロマトグラフィー / 反応解析 / XAFS |
Research Abstract |
水は高温高圧下で誘電率が著しく低下するなど物性が大きく変化することが知られている。本研究では高温高圧水を移動相とするクロマトグラフィー(SWC)を用いて高温高圧下での溶液内化学反応の解析を行うとともに,その研究結果に基づいて,高温高圧水を分離媒体ならびに反応媒体として利用し,SWCと本研究グループが開発した化学種変換HPLCを融合した新しい環境適合型反応選択的高速分離分析システムを開発することを目的としている。本年度は,イオン交換SWCを用いて種々の溶離電解質系でイオン交換選択係数の温度依存性を調べるとともに,高温高圧セルを用いてX線吸収微細構造(XAFS)による高温下での水溶液ならびに樹脂中のイオンの水和構造の解析を行い,イオン交換平衡とイオンの水和構造との関係を検討した。Cs^+を競争イオンとすると高温下でアルカリ金属イオンの陽イオン交換選択性が逆転し,特にLi^+が特異的に吸着するようになることがわかった。NaNO_3とCsNO_3共存下でのSr^<2+>の水和構造の温度依存性をXAFS測定により調べた結果,Cs^+共存下ではSr^<2+>の水和数が特に高温下で大きく減少することが明らかになった。これらの結果は,高温下でのイオンの水和構造が共存イオンによって大きく影響され,それがイオン交換選択係数に反映されることを示している。これはこれまで報告されていない新たな知見であり,新たな分離選択性を持つ分離系を構築できる可能性を示している。一方,溶液中ならびに固液界面における化学反応の平衡および速度解析を,HPLCを用いて行なう新たな分析法の開発を試みた。Co(II)のEDTA錯体の酢酸イオンおよびリン酸イオンとの部分的配位子置換反応とL-alanyl-L-prolineのcis-trans異性化反応を対象として考案した方法を適用し,平衡定数と速度定数を正確かつ高精度に決定できることを明らかにした。
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[Presentation] 環境分析2010
Author(s)
渋川雅美
Organizer
第33回湘南ハイテクセミナー
Place of Presentation
神奈川大学(横浜市)(依頼講演)
Year and Date
2010-12-02
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