2009 Fiscal Year Annual Research Report
メカノストレスをトリガーとする分子集合法の開拓と機能性分子素子への応用
Project/Area Number |
20350066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
直田 健 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (20164113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 泰嗣 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (60183191)
小宮 成義 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (00301276)
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Keywords | 発光 / 超音波 / 分子集合 |
Research Abstract |
サリチルアルジミン配位子を有する環状2核パラジウム錯体は、安定な有機溶液を短時間の超音波照射によって瞬時にゲル化する超分子ゲル化剤となることを見いだしている。本年度は、同様構造を有し、中心金属として白金を有する環状2核白金錯体について研究を行い、メカノストレス応答性分子集合に加えて、メカノストレスに依存した著しい発光強度増大現象を見出した。 まず、種々のスペーサー長を有する環状2核白金錯体を設計し、シス、トランス異性体の合成、および、単結晶X線構造解析による各錯体の構造決定を行った。2種の異性体のうち、トランス体のみが、超音波照射で分子内、分子間のπ-スタッキングのスイッチングを起こすことによってゲルを形成することが明らかとなった。生成したゲルは紫外光照射下で、黄緑から黄色の発光を示す。また、発光強度は、超音波照射時間が長いほど増大することが明らかとなった。この現象は、超音波で発光強度を制御するはじめての例となる。一方、シス体は、ゲル形成よりも、結晶生成の方がエネルギー的に有利となる。シス体の結晶は、トランス体に比べて、発光強度が強いことが明らかとなった。特に低温で強い発光を示し、シス体の固体発光量子収率は、トランス体に比べて3倍も大きいことが明らかとなった。このように、環状2核白金錯体は、メカノストレスにより、溶液、固体、ゲルと様々な状態をとることができ、分子集合状態の違いを利用した新しい発光制御法となりうることが明らかとなった。
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Research Products
(16 results)