2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350069
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 昭子 Nihon University, 文理学部, 教授 (50011705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 彪 日本大学, 文理学部, 助教 (80434067)
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Keywords | 単一分子性金属 / π-d相互作用 / 1Dハイゼンベルグ鎖 / 高圧電気伝導度 / 反強磁性相転移 / 磁化率測定 |
Research Abstract |
本年度新たに中心金属を銅とする単一分子性金属[Cu(tmdt)_2](tmdt=trimethylenetetrathiafulvalenedithiolate)を合成し、微小単結晶0.07mmを用いてX線構造解析を行い構造を決定した。類似配位子を持つ[Cu(dmdt)_2](dmdt=dimethyltetrathiafulvalenedithiolate)ではCuは四面体配位をし、配位子同士の二面角は80.29゜であるが、構造解析の結果[Cu(tmdt)_2]はこれまでの[M(tmdt)_2]と同型構造をしており平面であることがわかった。中性錯体の構造に関して孤立分子の全エネルギーを二面角の関数として調べ、これまで理論計算によりCu(dmdt)_2もCu(tmdt)_2も80゜が最もエネルギーが低いと結論されてきたが、Cu(tmdt)_2が平面であったことは、分子末端グループのパッキング効果(立体障害)の違いによって分子構造が規定されていると結論できる。粉末結晶を押し固めた試料の電気伝導度は他の[M(tmdt)_2]と比べて低い値を示した(σ(RT)~7Scm^<-1>)。恐らくπ-d相互作用を通して、π電子系のフェルミ面が消失し、d電子はCu原子上に局在しているものと推定される。一方、高圧下では粉末結晶試料であるにもかかわらず、電気伝導性は著しく上昇し15kbarでは室温で110Scm^<-1>に達することが判った。電気抵抗の振る舞いは半導体的であったが、少なくとも高圧下で単結晶では金属に転移しているものと考えている。常圧下の磁化率は1Dハイゼンベルグ鎖(J=117cm^<-1>)の振舞いを示し、分子軌道計算から予想されるpdσ(-)軌道に由来するa軸方向に一次元的なスピン鎖とπ伝導バンドが結晶中に共存する事が示唆される。更に磁化率測定とESR測定から13Kに反強磁性相転移が存在することがわかった。
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Research Products
(7 results)