2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会安全性確保を志向した土壌中の超微量重金属イオンの簡易迅速化学計測法の開発
Project/Area Number |
20350070
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
壹岐 伸彦 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (50282108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 仁 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (20124620)
高橋 透 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (30361166)
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Keywords | 化学計測 / 環境分析 / 土壌汚染 / 重金属 / 簡易分析法 / チアカリックスアレーン / 溶出試験 |
Research Abstract |
本研究は社会安全性確保を志向し, カドミウムCd, 鉛Pb, 水銀Hgなどの土壌中重金属イオンの簡易迅速定量法を開発することを目標とする. 本研究で提案する計測法は1)土壌検液作成, 2)濃縮, 3)分離検出の三段階から構成され, 各段階において重金属イオン認識素子チアカリックスアレーンTCAを機能させる. 本年度は1)について検討し「迅速・選択的土壌検液作成法(TCA抽出法)」を確立する.具体的には以下の成果を得た. 1. TCA抽出法の確立 : TCA濃度, 溶液pH, 振とう時間を最適化し, 複雑な土壌マトリクスの中から迅速(10分以内)かつ選択的にCdおよびPbを溶出させる条件を見いだした(1×10-5MTCAS, pH7.0). これにより公定法(水と4時間振とう)の操作時間を大幅に短縮することができた. ここでTCAのこれらの金属イオンに対する配位選択性が表れており, 土壌検液中のハード金属イオン濃度を抑えることが出来, マトリクスを単純化することが出来た. TCA抽出法による金属溶出濃度は公定法の結果と良好な一致を示した. 2. 溶出分画の調査 : 土壌中の金属イオンには交換態, 炭酸塩結合態, 硫化物結合態など様々な存在形態がある. TCA抽出法によりどの存在形態の金属を抽出するか, BCR逐次抽出法により調査した. その結果, TCA抽出法はCd, Pb共に交換態および炭酸塩結合態など土壌汚染拡大に寄与する画分を抽出することがわかった. またこれは公定法とTCA抽出法とによる溶出濃度が一致した原因と考える. 以上公定法に代わる迅速・選択的重金属抽出法を確立し, その有用性を明らかにした.
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Research Products
(11 results)