2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己集積型ヘムタンパク質超分子構造体構築への新しい取り組み
Project/Area Number |
20350079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 Osaka University, 工学研究科, 教授 (20222226)
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Keywords | 超分子 / ポリマー / ヘムタンパク質 / ミオグロビン / 自己組織化 |
Research Abstract |
これまで、多くのSupramolecular polymerの構築が報告され、適した分子設計によって、一定の秩序を有した超分子集合体の形成を可能とすることが実証された。しかしこれまでは、ユニット(monomer)の分子量が1,000以下の小分子の積層によるモデル研究が主であり、生体系で組織化されたタンパク質や生体膜で見られるような超分子集合体のモデルとしては、まだ初歩的な段階といえる。次の段階としては、さらに巨大な集合系構築への挑戦や、得られたSupramolecular polymerの機能化への研究が必須となる。そこで、本申請者は、この課題を克服すべく、初年度はヘムタンパク質を素材とし、ヘムとタンパク質マトリクス(ヘムポケット)との非共有結合相互作用を利用した様々なタンパク質超分子集合体の創製を中心に研究を展開した。 まず直鎖上のミオグロビンポリマーを合成した。このファイバー状のポリマーは、天然の単量体ミオグロビンと同程度の酸素親和性を有することが明らかとなった。さらに、このファイバーを過酸化水素で処理することにより、3次元のスポンジ状のクラスターを形成することも明らかとなった。一方、ヘムタンパク質のファイバーに対して、ヘム3量体を添加することにより、2次元メッシュ状のヘムタンパク質ポリマーが形成することも明らかとなり、そのモルフォロジーについては、AFM(原子間力顕微鏡)で詳細に観察することに成功した。一方、これら超分子ヘムタンパク質ポリマー形成に関する熱力学的挙動についても、綿密な考察を実施した。以上、初年度は、1次元から3次元状のヘムタンパク質超分子ポリマーの創製を実施し、様々な形状のタンパク質クラスターを得た。次年度は、さらなるユニークなポリマー形成と共に、その機能についての探索を行う予定である。
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Research Products
(5 results)