2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 武志 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (80291988)
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Keywords | 多価イオン / 電池 / 炭素 / 負極 |
Research Abstract |
カルシウムイオンの黒鉛負極への電気化学的挿入脱離反応について調べることを本年度の目的とした。黒鉛電極を作用極とし、対極には白金線、参照極にはAg+/Agを用い、三電極式セルを構築した。電解液についてはカルシウムトリフレートもしくは過塩素酸カルシウムをジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメトキシエタン(DME)に溶解させて調製した。サイクリックボルタモグラムにより黒鉛電極の電気化学特性を検討した結果、大きな還元電流が流れていることが分かり、カルシウムイオンの黒鉛への挿入反応が生じていることが分かった。そこで、定電位に24時間以上保持し、十分に黒鉛にカルシウムイオンを挿入させた後、X線回折測定を行った結果、有機溶媒に溶媒和されたカルシウムイオンが黒鉛に挿入していることが分かった。繰り返し周期距離を考慮すると、stage 5 Ca-DME-GIC(Graphite Intercalation Compound)ができていることが分かった。カルシウムイオンを黒鉛に電気化学的に挿入させた例はこれまでにはなく、本研究結果が世界で初めての成功例と考えられる。また、得られた試料についてラマン分光測定を行った結果、黒鉛のGバンドに帰属される1580 cm-1のピークが高波数側に10 cm-1シフトしていた。また、bounding layerだけではなく、interior layerのピークも認められた。これらのピーク強度はbounding layerのほうが大きく、ラマンの結果からはより低いステージのものができていることが分かった。ラマン分光測定の結果からもカルシウムイオンの挿入が確認でき、今後は脱溶媒和する条件を見出すこと、および、マグネシウムイオンの挿入脱離反応についても調べる予定である。
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Research Products
(1 results)