2008 Fiscal Year Annual Research Report
基板表面不活性層を用いたシリコン基板上の高安定な弗化物共鳴トンネル素子の実現
Project/Area Number |
20360004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
筒井 一生 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60188589)
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Keywords | 超薄膜 / 電子デバイス / 量子井戸 / トンネル現象 / 弗化物 / 共鳴トンネル |
Research Abstract |
(1) NiSi_2バッファ層の平坦成長 Si(111)基板上に、 Niのスパッタ堆積とアニールによる方法あるいはMBE法を用いて、平坦で結晶性の高いエピタキシャルNiSi_2バッファ層を成長する方法と条件を明らかにした。MBE成長チャンバー内でNiを2〜3nm堆積してからその場で700℃アニールする方法でSi表面の露出がなく反射電子線回折による観測で良好な結晶性が確かめられたNiSi_2バッファ層が形成できた。 (2) NiSi_2バッファ層上への弗化物ヘテロ層の成長 NiSi_2層上にCaF_2層を成長する際、単一温度の成長では平坦性と結晶性を両立させることが難しいが、CaF_2を常温で堆積後に300℃でその場アニールする2段階成長法で良好なCaF_2超薄膜(トンネル障壁)が成長できることを明らかにした。そして、このCaF_2層上に20nm程度の厚さをもつCdF_2の電子ドリフト層を平坦性良く成長でき、ヘテロ構造を通した導電性も充分であることを確認し、この上に共鳴トンネル構造を成長すれば良好なデバイスが実現できる見通しを得た。 (3) Ge基板上への弗化物ヘテロ構造の高温成長 Ge(111)基板表面に弗化物トンネル障壁層を成長する場合、Ge基板と格子整合がとれるCaSrF_2混晶を用い、常温堆積と300℃アニールを組み合わせる2段階成長法を用いることで、結晶性と平坦性の高い層を成長できることを示した。そして、この初期層を用いた弗化物二重障壁構造を従来と比較して顕著に高い300℃で成長し、Ge基板上の弗化物ヘテロ構造で始めて微分負性抵抗特性を観測した。これにより、化学的に不活性な層の上に高温で高品質な弗化物共鳴トンネル構造を実現しようとする本研究の構想が充分可能性のあるものであることを示した。
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