2010 Fiscal Year Annual Research Report
基板表面不活性層を用いたシリコン基板上の高安定な弗化物共鳴トンネル素子の実現
Project/Area Number |
20360004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
筒井 一生 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60188589)
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Keywords | 弗化物 / 共鳴トンネル / シリコン / ヘテロ構造 / 化学反応抑制 / バッファ層 / エピタキシャルシリサイド / ゲルマニウム |
Research Abstract |
シリコン(Si)基板上の弗化物(CaF_2、SrF_2、CdF_2、およびその混晶)ヘテロ構造による共鳴トンネルデバイスは、CMOSと集積可能な量子効果素子として期待されるが、CdF_2とSiとの化学反応性があるために安定なデバイスを実現するヘテロ結晶成長が困難である。この問題に対し、Si基板表面にCdF_2とは反応性が少ないと期待されるエピタキシャルシリサイドあるいはGeを挿入することで良質かつ安定な共鳴トンネルデバイスを実現するための成長技術を実証することを目的とした。 エピタキシャルシリサイドについては、NiSi_2の平坦成長を前年度までに明らかにしたので、今年度は、その上にCaF_2およびCdF_2のヘテロ層の形成を検討した。その結果、NiSi2層上には、まず2~3nmの薄いCaF_2層を常温堆積後に300QC程度で加熱する二段階成長法でバッファ層として成長してからCdF_2層を連続成長することで、平坦性と結晶性を両立したヘテロ構造を形成できることを明らかにした。この構造は、共鳴トンネルデバイスの構造と整合性が高いが、CaF_2層をより薄くして充分なトンネル電流密度を得るのが今後の課題である。 Ge上の共鳴トンネルダイオードは、前年度までに従来の成長より高温での成長で素子形成に成功したが、その漏れ電流を低減することが更なる高品質化への課題であった。それに対し、Ge上に成長するCaSrF_2混晶層に含まれるSrF_2成分とGeの接触が欠陥を誘発している可能性を見いだし、この部分を極薄のCaF_2層を含むCaSrF_2/CaF_2の二層構造にすることが漏れ電流制御に有効であることを初めて明らかにした。この成長方法を更に最適化することで、Geバッファ層上の弗化物ヘテロ構造の高温成長で高安定な共鳴トンネルデバイスを実現できる見通しを得た。
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Research Products
(7 results)