2009 Fiscal Year Annual Research Report
極限時間域光電場の位相・振幅制御による単分子スイッチの開発
Project/Area Number |
20360025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 隆二 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (30222350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 泰則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00313106)
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Keywords | 超広帯域光パルス / 分子コンフォメーション / モノサイクル光パルス / 軌道角運動量 / 光渦 / アブレーション / 偏光渦 / 閉ループ電子コヒーレンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者らの持つ、モノサイクル光パルス発生技術およびサイクル域光波整形技術である極限時間域光電場位相・振幅制御技術、超広帯域コヒーレントフェムト秒レーザー位相・振幅制御技術、および非線型レーザー分光技術を用いて、1)構造異性体を有するアゾベンゼン単分子の光誘起コンフォメーションダイナミクスを解明すること、2)単分子コンフォメーションをダイナミカルに制御することにより、光をトリガーとする高速応答電子輸送単分子スイッチの開発を行うことである。本年度は、超広帯域コヒーレントフェムト秒位相・振幅制御技術として、特に、分散のない超広帯域光渦(位相渦、偏光渦)の発生とこれら制御技術を用いた物質との相互作用実験を行った。 1.超広帯域・超高速単分子分光に応用可能な光渦(位相渦・偏光渦)の発生を目指し、空間分散、チャージ分散、偏光分散のない超広帯域光渦(位相渦・偏光渦)発生法を考案した。また、その有効性を実験的に検証し、位相渦に関しては500-900nm,偏光渦に関しては600-800nmにおいて分散のない超広帯域位相渦・偏光渦の発生に成功した。 2.円環状物質に沿った電子コヒーレンスを励起可能な超高速偏光渦を発生し、それを用いた、円環状一次元電荷密度波物質の閉ループ電子コヒーレンスの時間分解分光による評価を行った。これは円環状物質のマクロな電子コヒーレンスを評価した最初の実験である。 3.高出力ナノ秒光渦パルスを用いてTa金属表面のアブレーション実験を行った。通常のGaussianビームを用いた場合に比べ、光渦の場合はアブレーション閾値が低く、また中心に暗点をもつが軌道角運動量を持たない光との比較から、軌道角運動量の効果により、高精細、高コントラストのアブレーションができることを明らかにした。
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