2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボロンドープした半導体ナノダイヤモンドの開発とグルコースセンサーへの応用
Project/Area Number |
20360056
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 理一 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00112235)
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Keywords | 材料加工・処理 / 導電性ダイヤモンド / グルコースセンサー / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
本年度は,半導体ナノダイヤモンドの形成に適した成膜条件を検討することを目的とし,ボロンドープ量および成膜時の圧力がダイヤモンド結晶の大きさ,導電性に与える影響を検討した.また,ダイヤモンド表面のカルボキシル化に適した条件を検討することを目的とし,液適法による表面自由エネルギから化学修飾量の評価を行った.以下に得られた結果の概要を示す. 1) XRDおよびラマン分光の結果から,今回成膜したすべての薄膜は,グラファイトを含まないナノダイヤモンド結晶で構成されていることがわかった. 2) SEM, AFMを用いた薄膜表面の観察結果から,成膜時の圧力および導入ボロン濃度が高いほど,ダイヤモンドの結晶粒径が大きくなる傾向が見られた. 3) ダイヤモンド薄膜の電気伝導率は導入ボロン濃度の増加と共に向上した.電気伝導率に与える導入ボロン濃度の影響は低圧力で成膜した時の方が大きいことがわかった. 4) 異なる条件で成膜したダイヤモンド薄膜を同条件でカルボキシル化化学修飾処理を施した.昨年度の結果から,FT-IR分析は化学修飾したダイヤモンドの表面状態の評価に不向きであることがわかっている.そこで,本年度は化学修飾に伴うダイヤモンドの表面自由エネルギの変化に着目し,静的液滴法を用いて化学修飾量の評価を行った.その結果,化学修飾を行うことで表面自由エネルギの極性成分が顕著に増加し,液適法によって化学修飾量を評価できることがわかった. 5) 液適法による化学修飾状態の評価の結果,低圧力で成膜した導電性ダイヤモンド表面の修飾量は導入ボロン濃度に依存するのに対し,高圧力で成膜したダイヤモンド表面の修飾量は導入ボロン濃度にほとんど依存しないことがわかった. 6) 導電性および化学修飾のしやすさの観点から,センサー用基板適したダイヤモンド薄膜は,高圧力および高導入ボロン濃度で成膜する必要があることが明らかになった.
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Research Products
(1 results)