Research Abstract |
本研究は,5軸制御マシニングセンタに存在する直角度などの幾何学的誤差,旋回軸のピッチ誤差及びサーボ誤差などを総合的に考慮して同時5軸制御で加工したときの工作精度を,シミュレーション技術を使って予測し,診断する技術を確立することを目的として行った。 本研究では,(1)円すい台及び(2)四角すい台の仕上げ加工を想定して,シミュレーション,切削加工,測定を行った。まず,円すい台の仕上げ加工では,工作物の取付条件について検討し,中心をオフセットさせることによってより多くの情報が得られることを明らかにした。また,半頂角を15度と45度とした場合の比較を行い,15度にしたほうが,直進軸の移動範囲は小さいが,円すい台の形状に影響を及ぼす回転軸の誤差の影響が大きく現れることを指摘した。その理由についても検討し,回転軸の誤差の現れる向きと円すい台の表面に現れる誤差の向きとが大きく異なり,半頂角を45度にすると,A軸の誤差成分のうち検出されるのはその余弦成分となり,かなり小さく評価されることを明らかにした。 次に,四角すい台の工作精度について調べたところ,A軸のバックラッシだけでなく,C軸を除く全ての軸のバックラッシが現れる可能性のあることを指摘し,円すい台で得られる幾何誤差情報よりも,四角すい台から得られる機械の不具合の情報をより多く明らかにすることができることを示した。 以上から,同時5軸制御による工作精度試験の結果から,円すい台よりも四角すい台の工作精度試験を行ったほうが,利用価値が高いことを明らかにした。
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