2008 Fiscal Year Annual Research Report
大面積短パルス電子ビームによる金型の手磨きレス仕上げと表面改質に関する研究
Project/Area Number |
20360069
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宇野 義幸 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20029341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 晃 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60263612)
岡本 康寛 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (40304331)
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Keywords | 大面積短パルス電子ビーム / 金型 / 表面仕上げ / 表面改質 / 硬度 / 撥水性 / 耐摩耗性 |
Research Abstract |
本研究では大面積短パルス電子ビーム照射による金型仕上げ法を金型表面の平滑化だけでなく,平滑化と同時に処理できる新しい表面改質技術として確立し,実用技術とすることを目的としている. 大面積電子ビーム照射を行うと鉄鋼系金型材料表面表面には,極薄い再凝固層が形成される.すなわち,それが表面特性を左右する.そこでまず,SKD11照射面に対し,光学顕微鏡やTEM等による観察,組織の分析を行った,次に,マイクロビッカース硬度計を用いて表面付近の硬度分布を調査した.また,アングルポリッシュした照射断面に対して同様にマイクロビッカース硬度測定を行い深さ方向の硬度分布も評価した.この際,再凝固層厚さの結果と照らし合わせ硬度変化を考察した.さらに,往復摺動型摩擦摩耗試験機を用いて耐摩耗性について基礎評価を行なった.表面組織変化によって表面エネルギーが変化し,結果として液体との接触角や撥水性が変化する.これらの物性は離型性と相関があり,また金型保管時の錆の発生などとも関係すると考えられるため,その基礎データとして,撥水性を評価した.さらに,超硬合金やセラミックス製の金型を想定してそれらの材料に対する照射を試みた. これらの検討によって以下の結論を得た. 1.大面積電子ビーム照射によって形成される再凝固層は母材と比較すると結晶粒の小さい緻密な組織となっている.また,再凝固層厚さは,ビームのエネルギー密度,照射回数の増加に伴い徐々に厚くなり,最大で10μm程度となる. 2.大面積電子ビーム照射により表面硬度は若干低下するが,表面から約10μm以内で硬度は回復する.また,最適照射条件下では大面積電子ビーム照射面の耐摩耗性を向上できる可能性がある. 3.大面積電子ビーム照射によって表面の撥水性を向上することができる.また,ビームのエネルギー密度,照射回数の増加に伴い,撥水性は向上する傾向がある.
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Research Products
(3 results)