2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体の磁束量子ダイナミクスとテラヘルツ波放射デバイス応用
Project/Area Number |
20360151
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中島 健介 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 教授 (70198084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 華兵 山形大学, (独)物質・材料研究機構, 研究員 (70421427)
渡辺 孝夫 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40431431)
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Keywords | 高温超伝導体 / テラヘルツ / 磁束量子 / ジョセフソン効果 / ナノデバイス |
Research Abstract |
Bi_2Sr_2CaCu_2O_8(Bi2212)高温超伝導体固有ジョセフソン接合(Intrinsic Josephson Junction : IJJ)を作製し, その電圧-電流特性, 外部磁場応答, 高周波応答など接合の基礎特性を評価すると共に, ヘテロダイン検出法によりテラヘルツ波放射の検出を試みた。その結果, 本研究で提案した共振器と集積化したIJJにおいて磁束量子のフロー速度が集積化前に比べて高速化することを見出した。高速化の原因は未だ明らかでないが, IJJ内の磁束量子の運動が外部に集積した共振器構造の影響を受けることを実証できたことは, 本研究の目的を達成する上で重要な成果である。また, 磁束量子フロー状態にあるIJJの高周波応答特性を様々な外部磁場条件下で測定した結果, 金属系トンネル型ジョセフソン接合と同じようにBi-2212 IJJが高周波導波路として機能することを示唆する高周波励起ゼロ交差ステップを観測することに成功した。これは, Bi-2212 IJJを高周波デバイスに応用する上で極めて重要な知見である。 王は低温レーザー走査顕微鏡(LTSLM)を用いて磁束量子フロー状態にあるIJJの直接観測を行った結果, IJJ上にホットスポット列が発生することを見出した。ホットスポット列は, Bi-2212 IJJのキャビティ共振状態を反映しているものとして説明できる。このことは, Bi-2212 IJJが高周波導波路として機能することを直接観測したものであり, 高周波励起ゼロ交差ステップの観測と併せて極めて重要な知見である。
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