2009 Fiscal Year Annual Research Report
力学系理論による符号設計とそのディジタル通信への応用
Project/Area Number |
20360174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香田 徹 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (20038102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
實松 豊 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (60336063)
緒方 将人 九州産業大学, 工学部, 准教授 (90325548)
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Keywords | カオス力学系 / 擬似直交系列 / シンボル間干渉 / 周波数利用効率 / マルチキャリア伝送 |
Research Abstract |
カオスを利用した通信の研究は1990年代に始まったが,その多くはカオス実数値軌道をそのまま利用するアナログ通信であり,現在隆盛を極めるディジタル通信の諸技術の上に直接載せることが困難と考えられる.一方,我々の提案手法は,カオス力学系をバイナリ系列の設計に役立てる手法なので,CDMAやOFDMなどの既存のディジタル通信技術に容易に適合できる利点を持つ.第3.9世代携帯電話で利用されるOFDM方式では、通常のシンボル同期に加えて、サブキャリア間の干渉を無くすために高精度な周波数同期が必要である。研究代表者らは2008年に、Gaborの時間・周波数表現に基づく、時間と周波数の正確な同期が不必要な擬似直交マルチキャリアCDMAを提案した。本年度は、この提案手法におけるユーザー間干渉の評価法を与えるとともに、時間・周波数の2次元拡散符号の設計法を提案した。研究代表者らはすでに、DS-CDMA方式で用いられる一次元の符号系列に対しては、偶相互相関関数と奇相互相関関の2つの相関関数をそれぞれ調べることによりユーザー間干渉の分散を評価することが出来ることを示していたが、二次元の拡散符号の場合には、4種類の相関関数が自然に導入され、これらをそれぞれ調べることでユーザー間干渉が評価可能であることを示した。この結果はGlobecom2010に投稿中である。また、周波数の同期保持にはフィードバック構造のPhase Locked Loop(PLL)回路がもっぱら用いられる。超広帯域通信での応用を見据え、研究代表者らはこれとは異なり、ニュートン法に基づく到来波から周波数と位相を直接同定する手法を提案した。この結果を用いて、周波数・位相推定回路及びそのアルゴリズムについて特許を出願・公開した。この回路はフィードバック構造を持たないので安定性の問題がないので、雑音や高温・低温など環境の悪い場面での利用が期待される。
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Research Products
(15 results)