2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360194
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 法美 Kochi University of Technology, 経営学部, 教授 (30240500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 一雅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80194546)
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Keywords | 公共工事 / 技術調達 / リスクマネジメント |
Research Abstract |
(1)地方公共工事実態調査、(2)旧来の公共工事地質リスクマネジメントの課題抽出、(3)諸外国の公共工事実態調査と国際比較、(4)他産業の調達実務の予備調査、を行った。(1)では、a)指名とは、事業執行の全段階において地元の「正直者」業者が実施する活動を、総合的に評価・審査する行為である、b)一般競争と総合評価方式での評価項目は,指名競争入札での評価項目の一部である、c)発注者が保有すべき能力の一つは、組織内部の技術力水準を「謙虚に」把握し、必要な外部技術を適切に調達できる「発注力」である、d)ある仮定の基で行った試算では、発注者の協議・打ち合わせ、検査などに要する「取引費用」は、受注業者の良し悪しによって2倍以上異なり、それは工事価格の9%にも及ぶ、ことを確認し明らかにした。(2)では、a)技術者自身への「期待」が充足されにくい、b)請負者と発注者の双方が「不安」を抱えている、c)指名や受注調整など従来の不安緩和方法が、今後は機能しにくくなること、を確認し改善案を検討した。(3)では、国内外の識者との討議を通して、a)日本では世界に比類なき良質の工事が実施されてきた、b)今後も守るべきものは「信任」の精神であり、具体的には技術者の良心、Win-Win、規準作成、自己管理、努力者評価である、c)変えるべきことは、透明性の向上であり、具体的にはコストとリスクの構造、責任分担、競争ルールの明確化である、との知見を得た。また、計画経済から市場経済に移行したベトナムに関する調査では、まず政府規則を制定し、次に入札法を制定するなど幾多の試行錯誤を経て段階的に競争入札の定着を図っていることも明らかとなった。(4)では、a)一自動車メーカーの部品調達とb)印刷業界の調達について聞き取りを行い、a)では自社の経営方針に基づき、長期的な信頼関係を大事にしつつ業者を選定していること、b)では、仕事前の「他愛のない」会話、確認の電話、「下請けさん」ではなく社名で呼ぶことなど相手への温かい「まなざし」を持つことが、人とつながり、信頼構築のためには不可欠との基礎的知見を得た。
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Research Products
(11 results)