2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境自律型バイオミティック(生物模擬)建築の開発と評価に関する研究
Project/Area Number |
20360260
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石川 幸雄 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (60378312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宿谷 昌則 東京都市大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
田澤 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, イノベーション推進室, 総括企画主幹 (60357423)
垣内田 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (40343660)
宮田 弘樹 株式会社竹中工務店, 技術研究所建設技術研究部, 研究主任 (90416628)
北野 博亮 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80293801)
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Keywords | バイオミメティクス / 汗かき建物 / 衣替え建築 / 二酸化バナジウム / 調光窓ガラス / 発汗蒸泄 / エクセルギー / 浸透圧 |
Research Abstract |
人体・生物が持つ環境生理機能を建築に模擬応用した「バイオミメティック建築」を構築するために必要となる要素技術、複合技術、評価法について研究を進め、今年度に得られた主な研究成果は以下の通りである。(1)「汗かき屋根」の感温性高分子材とバインダーの吸排水性能を実験により確認した。また、一対の実験小屋(汗かき屋根を敷設した発汗小屋と非発汗小屋)を作成し、壁体の断熱性能を変えて同一気象条件下で蒸発冷却実験を行い、「汗かき屋根」の自然冷房効果を定量的に示した。(2)表面で選択吸収・選択放射機能を持たせた新規の外壁試験体を構築し、夏季・冬季の熱性能を実験的に求め、非選択性外壁と比較して、その熱(衣替え)効果を示した。(3)VO_2膜のサーモクロミズムを幅広く制御するため、TiO_2との複合酸化物化の効果を調べ、VO_2に新しい熱光学的機能を持たせるため、化学的手法による作製技術の開発を試みた。一方、VO_2以外の新規省エネ建材(日射制御タイルと新規感温型調光窓材)を探索した。(4)植物の水搬送機能を模した浸透圧利用の揚水装置について、濃度差によって駆動するポンプの働きを維持するために、持続的に濃度差を維持することが可能かどうかについて検討した。システムシミュレーションにより、ポンプの配管を環状とし溶液を循環させることによって、この水搬送システムが持続的に機能することを確認した。(5)各種要素技術の複合効果を評価する手法を理論的に検討した。(6)バイオミメティック建築の環境評価として、人が暑熱な屋外をしばらく歩行した後に室内に滞在した場合の温熱生理量の変化と快適性との関係を通風室とエアコン室で比較した。通風室ではヒトの発汗蒸泄機能により、皮膚表面温度が徐々に低下するとともに不快申告も減少するため、「涼しさ」は空気温度が高めで、風がほどよく揺らいでいる状態において得られる感覚・知覚であること、また、通風室のような非定常性の強い環境を評価する場合は、人体エクセルギー収支の特にエクセルギー消費の大きさが、ヒトの不快とよく対応することを明らかにした。
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Research Products
(15 results)