Research Abstract |
1.最適合金設計 (1)母相組織をベイニティックフェライトとしたTBF鋼において,1%Cr,1%Cr-0.2%Moまたは1%Cr-0.2%M01.5%Niを添加したとき,高い切欠き疲労強度と低い切欠き感受性が達成できた.B添加鋼では,残留オーステナイトが結晶粒界に粗大に存在するため,改善効果は小さかった. (2)Ms温度とMf温度の間の温度でオーステンパー処理を施したTBF鋼,及び世温度以下まで冷却し,パーティショニング処理を施したTM鋼の破壊靭性は,既存の高強度鋼の中で最も高い破壊靭性値を示すマルエージ鋼と同等の値を示した.この破壊靭性値は,既存の構造用低合金鋼の約2倍であった. (3)TBF鋼の切欠き疲労強度特性,破壊靭性に対して,ベイニティックフェライトとマルテンサイトの混合組織が有用であることを見出した. 2.熱間鍛造熱処理 (1)020-0.40C-1.5%Si-1.5%Mn-0.05%Nb-0.002%Bの化学組成を有する蜘において,熱間鍛造+焼き入れ+パーティションイング処理(熱間鍛造熱処理)により,組織の微細化とγ_R特性の改善を達成し,結果的に靭性を改善した. (2)このTM鋼の強靭性は,昨年度に行ったTBF鋼の強靭性と同等,またはそれ以上であり,コモンレール以外への応用が期待できた. 3.新規TM鋼の開発 (1)Mf温度以下に冷却してTM鋼を製造する際,Ms温度直上まで急冷したのち,Ms温度とMf温度の間での冷却速度を遅くすることにより,残留オーステナイト体積率を高め,かつ炭素を濃化できることを見出した. (2)さらに,その後のパーティショニング処理により,さらに残留オーステナイトの安定性を高め,成形性,強靭性を高めることができることを見出した.
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