Research Abstract |
本年度は,昨年度開発した2種類のマイクロ成形加工プロセストライボロジー評価装置を用いて,各種マイクロ金型の表面仕上げや保護膜コーティングに関するトライボロジー特性評価を行った. 具体的な研究成果は以下に示す 1) ユニバーサル潤滑性,耐摩耗性評価装置によるマイクロ金型の潤滑性,耐摩耗性表面機能性評価 マイクロ成形加工では,素材の表面粗さや平坦度などに起因するプロセス時の非連続的な接触状態を再現し,そのトライボロジー特性を評価した.接触状態が周期的に変動するモードで摺動試験を行い,接触状態が一定の場合での摺動実験との比較を行った。平均摩擦係数は一定モードと比較して,変動モードのほうが低下することが分かった.金型表面DLCコーティングの耐摩耗性については,一定モードでは,せん断による摩耗に対して,変動モードでは,DLC膜に微細クラックが多く発生し,剥離に至るケースが多い.この現象は,金型と素材との接触面積が小さくなるにつれて顕著である.これを踏まえて,クラックの発生を抑制する膜コーティングを施し,耐摩耗性向上につながったことを実証した. 2) 高精密小型摺動試験機によるトライボロジー特性の評価 摺動金型の寸法,表面粗さ,コーティング膜の特性,さらに素材の材質,板厚を変化させることにより,トライポロジー特性に及ぼす金型及び素材の寸法効果を調べた.さらに摺動試験時,素材表面の変形を有限要素法を用いて解析し,摺動試験における表面粗さの影響を明確にした.さらに,種々の材料に関するデータを収集し,データベースを構築すると同時に,マイクロ成形に適切な金型精度と表面性状を定量的に評価した. 上述のような研究開発成果より,今後,各種プレス成形に適した金型加工,表面処理をもとに,マイクロ成形における適切なプロセス設計及びそのための金型設計を行う.
|