2010 Fiscal Year Annual Research Report
ピロロキノリンキノンによるアミロイド蛋白質の選択的構造形成制御
Project/Area Number |
20360369
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
早出 広司 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10187883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池袋 一典 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70251494)
津川 若子 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80376871)
ステファノ フェリ 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90334474)
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Keywords | アミロイド / 蛋白質 / 構造制御 / バイオテクノロジ / 生体分子 / PQQ / 細胞毒性 / 膜感受性蛍光色素 |
Research Abstract |
本研究で神経変性疾患の原因物質である3種の蛋白質、パーキンソン病の原因蛋白質であるαシヌクレイン、アルツハイマー病原因蛋白質であるβアミロイドおよびプリオン病の原因蛋白質であるプリオンに対し、凝集線維化を選択的に抑制するPQQ修飾ペプチドを開発することを目的としている。本年度は当初、1)プリオン、および2)βアミロイドに対して選択的に凝集線維化を抑制するPQQ修飾プリオン/βアミロイド部分ペプチドの設計・評価、の2項目を計画していた。一方、近年のアミロイド形成蛋白質の神経変性疾患とのかかわりにおいて、同蛋白質が形成する線維より、前段階で形成されるオリゴマが示す細胞毒性が重要であることが認識されてきた。そこで、これまでの知見をもとに、アミロイド形成蛋白質の示す細胞毒性に関してαシヌクレインを中心に簡易に評価する系を構築するとともに、これまでに得られたPQQ修飾部分ペプチドの効果について検討した。アミロイド蛋白質のオリゴマ形成による細胞毒性は非選択的なイオン透過を促すチャネル様構造の形成に伴うという知見をもとに、膜電位感受性蛍光色素を用いる簡便・迅速なアミロイド蛋白質の毒性評価系を構築し、この評価系が従来法と高い相関を示すことを明らかにした。さらに、αシヌクレインにおいて、C末端を欠如した切断体が最も毒性が高いことを示した。この系を用いることでPQQおよびPQQで修飾されたαシヌクレイン部分ペプチドを用いて、全長αシヌクレインおよび切断型シヌクレインの示す細胞毒性をきわめて効果的に毒性を抑制できることが示された。このようにPQQで修飾されたアミロイド蛋白質部分ペプチドによって、アミロイド蛋白質の線維化が抑制できるばかりでなく、細胞毒性も制御できることが示された。
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