2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞膜を用いる難治性疾患ナノ治療システムの展開 -がん治療を中心に-
Project/Area Number |
20360377
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
上岡 龍一 Sojo University, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
市原 英明 崇城大学, 生物生命学部, 技術員 (70369114)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / がん化学療法 / アポトーシス / 制がん効果 / 膜融合 |
Research Abstract |
多価不飽和脂肪酸(PUFA)の制がん効果に注目し、リン脂質(DMPC)と非イオン性ミセル界面活性剤(Tween 80)からなるハイブリッドリポソームにPUFAを含有させ、肺腺がん細胞、大腸がん細胞および胃がん細胞に対する増殖抑制効果を検討した。PUFA含有ハイブリッドリポソームは、すべてのがん細胞に対して増殖抑制効果を示したが、n-6系のリノール酸は脂質過酸化反応による細胞傷害でネクローシスを誘導し、n-3系のドコサヘキサエン酸では細胞のプログラム死であるアポトーシスを誘導していることが明らかになった。ハイブリッドリポソームに多価不飽和脂肪酸を含有させることで、がん細胞に対して異なる細胞死(ネクローシスとアポトーシス)を誘導できることをはじめて明らかにした。(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 18 (6), 1880-1883 (2008)) ハイブリッドリポソーム(HL)の「流動性」が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染細胞の増殖抑制と深く関係していることをin vitroで初めて明らかとした。すなわち、リン脂質(DMPC)及びPEG系界面活性剤(C_<12>(EO)_n: n=4〜25)から成るHLのHIV慢性感染(MOLT-4/IIIB)細胞に対する50%細胞増殖抑制濃度(IC_<50>)とHLの膜流動性との間に良好な相関性を明らかにした。さらに、HLは、HIV潜伏感染(J22-HL-60)細胞に対して、ウイルス産生を増大する結果を得た。ウイルスを産生した細胞は、同時に死滅していることも分かった。これらの知見は、エイズの治療をサポートする新しい薬剤となる可能性を示唆する。(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 18 (16), 4578-4580 (2008))。
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