2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞膜を用いる難治性疾患ナノ治療システムの展開 -がん治療を中心に-
Project/Area Number |
20360377
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
上岡 龍一 Sojo University, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
市原 英明 崇城大学, 生物生命学部, 技術員 (70369114)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / がん化学療法 / アポトーシス / 制がん効果 / 膜融合 |
Research Abstract |
リン脂質(DMPC)およびPEG系界面活性剤(C_<12>(EO)_<21>)からなるハイブリッドリポソーム(HL-21)は、乳がんモデルマウスに対する治療実験において、治療開始時と腫瘍容積が変わらず顕著な腫瘍の腫瘍抑制効果が確認された。一方、DMPCリポソーム治療群では腫瘍縮小効果は見られなかった。次に、TUNEL法によりアポトーシス誘導を検討したところ、固形腫瘍の抑制効果を示したHL-21治療群において、アポトーシス細胞が多く観察された。以上の結果から、in vivoにおいて、HL-21は乳がんモデルマウスに対してアポトーシス誘導による抗腫瘍効果を示すことが今回初めて明らかになった。(Chemistry Letters,38,134(2009).) HLの大腸がんの肝転移抑制に関する基礎研究から以下のような興味深い知見が得られた。(a)HLは、マウス大腸がん(Colon26)細胞に対し、細胞膜に融合蓄積後、アポトーシス誘導により増殖抑制効果を示すことを明らかにした。(b)蛍光染色したColon26細胞の肝転移を視覚的に確認した。(c)HL投与群において、肝臓および脾臓の体重比器官重量の減少が確認された。(d)HE染色による切片観察より、HL投与群が正常群と同様の組織の状態に回復した。(e)TUNEL法による観察より、HL投与群においてアポトーシス誘導が確認された。(f)HLを静脈投与した肝転移モデルマウスにおいて血液毒性がなく、高い安全性が示唆された。薬剤を含まないHLは、大腸がん肝転移モデルマウスに対して、アポトーシス誘導により治療効果を示すことが示唆され、臨床への応用が期待できる。(薬学雑誌,129,465(2009).)
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